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「獣医師の思考回路」を 皆さまにお伝えします。病院長 吉内 龍策
このページは、日々診療にあたっている獣医師が、どのようなことをどのように考えて飼主の皆さんに話をしているか、いわば「獣医師の思考回路」とでも言うべきものを、少しでも皆さんに分かっていただきたいと考えて作成しました。「獣医さんのひとりごと」といった趣向の語りになっていますので、あえて専門用語もそのまま使用しています。獣医師の生の姿を見ていただくとともに、皆様の獣医学的な知識のひきだしの様なページになれば幸いです。可能な限り毎月の更新を目指しますのでよろしくお願いします。
病院長 吉内 龍策


2017年8月のコラム

「猫ちゃんの理想のトイレとは?」の話

  1982年、不思議系キャラクターの戸川純が「おしりだって、洗ってほしい。」と語りかけたTOTOのCMは大きな衝撃を視聴者に与えました。以来、温水洗浄便座は多くの人たちの知るところとなり、次第に人々の生活に普及していったのです。

  確かにお尻は洗ったほうが気持ち良いものです。けれども、排泄という行為全体を考えれば一要素でしかないことに気づきます。知人の結婚式などで高級ホテルに呼ばれ、たまたま用を足しに行ったときなど、BGMが流れ、芳香が鼻腔をくすぐり、温水洗浄便座にはヒーターが備えてある。これは気持ちよく事を済ませられそうだと便座に座った途端に、隣の個室にあわただしく跳び込んでくる物音、聞きたくもない排泄音とそれに続く臭気、これでは出るものも出ず万事休してしまいます。「あー、家のトイレが一番やわ〜」とお後がよろしいようで。

  こんな風に人には人の事情があるように、猫には猫の事情があるのです。猫たちにとって温水洗浄便座など無用の長物でしかありませんが、あの四角いトイレには相当なこだわりがあるようです。

  トイレの大きさは、少なくとも体の1.5倍は欲しいところ。猫は排泄の前後にトイレの中で砂かきをしますが、その際、体の向きを何度も変えて入念にチェックします。体の向きを自由に変えられるくらいの広さが必要で、トイレのふちに手をかけながら排泄している姿を見ると、カワイイッと思ってしまう方もおられるようですが、実は「狭ッ!」と感じてチョー不満なのです。できればカバーもない方がいいようで、カバーがついていると臭いも籠りやすく、トイレをする気がそがれることもあるようです。

  砂は安定感があって、猫の小さな手でもかきやすい細かい砂の方が好きな猫が多いようです。猫の好みも様々なので、粗い砂やパルプ砂を使い慣れている子もいますし、柔らかい素材が好きな子もいます。衛生面や臭いのことを考えると、トイレシートをマメに替えるのがベストですが、あてがわれたものを仕方なく使っていてストレスを感じている場合もあります。

  それにこまめなお掃除も大事です。用を足した後に猛ダッシュでトイレから逃げ去るようであれば、「汚い!イヤや!」と思っているかもしれないのです。猫によってはおしっこのあとが一箇所あるだけで「他の場所でしちゃうもん!」という子だっているようです。人間も外出先ではトイレに入りたくない人もいますが、猫だって性格はいろいろ。汚れたトイレでも気にならない猫もいれば、潔癖性の猫もいます。猫の性格や許容範囲はさまざまです。

  トイレの数はできれば頭数分、スペースなどに余裕があれば頭数+1が理想です。トイレを置く場所は、お家の環境にもよりますが、コアエリア(いつもいる生活圏)に近いところに置くのがいいようです。うるさくて気が散るような場所では排泄しにくいようですが、静かだからといって普段いる場所から離れたところにトイレがあるのも、ちょっと具合が悪いようです。あんまり離れたところにあると面倒になって、「途中で済ましちゃえ!」ということにもなりかねません。

  わが家の猫たちの末っ子、不思議系キャラクターのコテツ君。1歳を迎えたある日、突然、嫁のベッドで粗相をしてしまいました。明け方のわが家は大パニック。

  粗相の問題の多くは、健康面のチェック、トイレ環境改善、遊び時間の増加で解決されます。FLUTD=ネコ下部尿路疾患(ネコ下部尿路疾患/(Dec'00)赤いおしっこの話特発性膀胱炎/(Aug'11)「原因不明の膀胱炎」の話をご参照ください。)は最も多い健康上の問題です。また、尿マーキング(尿マーキング・フェイシャルフェロモン/(Mar'03)においの話(その2)をご参照ください。)の場合もあります。そういった健康上の問題や、マーキングの問題がなければ、前述のトイレ環境の整備が大切になってきます。

  頻尿も血尿もなく、まとまった量の尿をベッドの1か所にしっかり排泄してしまうというコテツ君、FLUTDや尿マーキングとは考えられません。より大きなトイレを購入し、トイレの数を増やし様子を見ていましたが、粗相の気配はなく大丈夫かなと安心しかけた頃に、「またやわーっ!」という嫁の絶叫。悩ましいこの状況に、次なる作戦を考えなければなりません。結局、遊んで欲しくてアピールのためにわざとベッドで粗相をしているのかもと、遊び時間を増やすことにしました。

  それからも、忘れた頃に突然粗相という悩ましい日が続き、獣医師でありながらこの状況を打開できない自分の立場が、日に日に悪くなっていったことは言うまでもありません。ところが最近、コテツ君が粗相をしなくなった気がすると嫁の弁。嫁のベッドを根城にしていたジジ君が、いつもタンスの上で寝るようになり、ベッドに乗せてあげてもすぐに降りてしまうようになったらしいのです。どうやら、14歳になるジジ君が、若いコテツ君に一番心地良い場所を譲ってくれたということのようです。決して仲が悪いようには見えないジジ君とコテツ君の間にどんな確執があったのかは知る由もありません。いずれにせよ、ジジ君の寛大な行動によりコテツ君の粗相問題は、わが家の猫ちゃんトイレ環境の改善という副産物を残して、一件落着したのでした。

  「ジジ君、ありがとー:^^」

(文責:よしうち)
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