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「獣医師の思考回路」を 皆さまにお伝えします。病院長 吉内 龍策
このページは、日々診療にあたっている獣医師が、どのようなことをどのように考えて飼主の皆さんに話をしているか、いわば「獣医師の思考回路」とでも言うべきものを、少しでも皆さんに分かっていただきたいと考えて作成しました。「獣医さんのひとりごと」といった趣向の語りになっていますので、あえて専門用語もそのまま使用しています。獣医師の生の姿を見ていただくとともに、皆様の獣医学的な知識のひきだしの様なページになれば幸いです。可能な限り毎月の更新を目指しますのでよろしくお願いします。
病院長 吉内 龍策


2017年6月のコラム

「コラーゲンは飲んで効く?」の話

  デブリという言葉を耳にしたことはおありでしょうか?「壊れたり崩れたりして散らばった破片や残骸」のことで、原子炉の事故で、炉心が過熱し、溶融した核燃料や被覆管や原子炉構造物などが、冷えて固まったものを核燃料デブリと呼びます。また、耐用年数を過ぎ機能を停止したり、事故・故障によって制御不能となった人工衛星や、衛星などの打上げに使われたロケット本体、その部品、多段ロケットの切り離しなどによって生じた破片、宇宙飛行士が落とした手袋・工具・部品など、地球の衛星軌道上を何の意味もなく周回している人工物体のことをスペースデブリと呼んだりもします。このように、デブリとは、いわばゴミのことで、厄介者に違いありません。けれども、この厄介者が時には良い仕事をすることもあるのです。例えば、壊れた赤血球のデブリが造血刺激となり、赤血球の再生を促すといったようなことです。

高度2,000km以下の軌道を周回するスペースデブリの分布。

  コラーゲンは皮膚や軟骨などを構成するタンパク質の一つで、食物から摂取すると分解されて体内に吸収されます。これまでは、他のタンパク質と同様に消化酵素でアミノ酸に分解されるので、体内でコラーゲンだけが特に増えるわけではないと考えられていました。

コラーゲン線維の3重らせん構造

  ところが、京都府立大の佐藤健司教授らの研究グループが、人の実験で、ブタや魚のコラーゲンを食べると、コラーゲンに多いアミノ酸のヒドロキシプロリンとプロリンが結びついたペプチド(アミノ酸化合物)が血中に長時間にわたって増えることを突き止めました。このペプチドの機能をマウスの皮膚細胞で調べたところ、ペプチドが再びコラーゲンになるのではなく、コラーゲンを産生して傷を修復する役目を担う線維芽細胞を傷の部分に呼び寄せることが分かったのです。つまり、食べたコラーゲンは消化酵素で分解されてデブリとなり吸収されて、新たなコラーゲンを必要とする場所に線維芽細胞を引き寄せる仕事をしているということなのです。

  コラーゲンを多く含む健康食品が、しばしば皮膚の張りを保つ、関節の痛みを改善すると謳い、「個人の感想」との注釈や「体験談」の説明付きで販売されていますが、国立健康・栄養研究所は、コラーゲンを食べても「美肌」「関節」に期待する効果が出るかどうかは不明であるとの見解を示しています。先の佐藤健司教授らの説に従うならば、コラーゲンを摂取した人が、線維芽細胞が活躍しなければならないようなダメージを肌や関節に抱えている場合には、効果が期待できるということになります。どうやら、どのようなコンディションの人でも肌のプリプリ度がアップするわけではなく、線維芽細胞による修復を必要とするような傷んだコンディションの人でだけ、その修復を助けてくれるということのようです。ちなみに、摂取するコラーゲンがどんな姿であれ、重要なのは摂取後の血中ヒドロキシプロリンペプチドの上昇度合いとその持続時間のようです。スッポン鍋にするか、高価なコラーゲンサプリにするか、ゼラチンパウダーを味噌汁に入れるかは、好みと懐具合で決めても良いのでしょう。

  野生動物の傷の治りが早いのは、捕らえた獲物を、コラーゲンを多く含む皮ごと丸々食べているからなのかもしれません。野生動物は余分な狩りはせず、獲物として捕らえた命も一切無駄にはしません。そういった意味で自然界に真のデブリは存在しないのです。厄介なのは、後処理のことなど考えもせずに目先の利益だけを追いかけて、核燃料デブリやスペースデブリを置き去りにしてしまう人間の浅はかな知恵なのかもしれません。

(文責:よしうち)
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