栄養学

「古代穀物って何?」GIについて考えてみようの話

「古代穀物って何?」GIについて考えてみようの話

コメの価格が高騰しています。「令和の米騒動」といわれるこの状況に、失言で農水大臣の首が飛び、日本の農業政策やコメの流通の在り方に議論が百出しています。

高度成長期を経て日本の食卓も多様化し、主食のコメもパン類や麺類に押され、コメ離れが危惧された頃から、おかしくなったのかもしれません。

人類史を紐解けば、およそ1万年前の西アジア(現在のイラク・シリア・トルコ周辺)で行われた最初の農耕を皮切りに、安定した食糧供給が人口増加をもたらし、余剰生産物が蓄積され、階級や都市、国家、文字の発生など文明化を促進してきました。

穀類は現在も世界の主食となっており(米・小麦・トウモロコシなど)、農耕と穀類生産の技術は、現代農業の基礎を築き、人類社会の発展に大きく貢献してきたのです。

人類最初の農耕で栽培されていたのは、小麦(エンマー小麦、スペルト小麦)、大麦、レンズ豆、ヒヨコ豆などでした。そこから農耕技術が発展し、農作物の品種改良がおこなわれ、より口当たりの良い、収量の高い作物へと変わっていったのです。

この美味しい穀類は、現代人にとって良い事ばかりではなく、肥満や糖尿病などの生活習慣病の一因でもありました。

その理由は高いGIにありました。GIとは食後血糖値の上昇を示す指標、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)のこと。GIは、食品に含まれる糖質の吸収度合いを示し、摂取2時間までの血液中の糖濃度を計ったものです。オーストラリアのシドニー大学ではグルコースを基準とした場合、GIが70以上の食品を高GI食品 56~69の間の食品を中GI食品 55以下の食品を低GI食品と定義しています。

そこで見直されてきたのが、古代穀物(アンセストラルグレイン)です。古代穀物は、何千年もの間存在しており、遺伝子操作はもとより、人工的な品種改良が殆ど行われていません。

なかでもスペルト小麦は、現在のパン小麦(普通小麦)の原種にあたる古代穀物で、イタリアではFarro(ファッロ)、ドイツではDinkel(ディンケル)、スイスではSpelz(スペルツ)と呼ばれ、大きな注目を浴びています。作付面積当たりの収穫量が少ないものの、天候や環境の変化に強く、荒れた土地での栽培も可能で、オーガニック栽培に適しています。

豊富な食物繊維やビタミン類、ミネラル類を含みます。また、血糖値の上昇が緩やかな低GI食品に分類されていて、緩やかに吸収されることで、空腹感を感じにくく体重管理に役立つとされています。オーガニック、低GIとくれば、健康志向の高い現代人が放っておくはずがないというのも肯けます。

人でオーガニック、低GIが好ましいと考えられている以上に、好ましい動物がいます。猫は完全肉食動物で糖代謝が得意ではありません。化学物質の解毒にも難があります。イモやコーンを用いたノングレインフードという選択もあるのかもしれませんが、低GIのグレイン=スペルト小麦・オーツ麦を使用したキャットフードが市販されています。

キャットフード選びに悩んだときには、選択肢の1つとして検討されてはいかがでしょうか。ご相談は当センターまで。

(文責 吉内)


大阪市の南大阪動物医療センター

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大阪府大阪市平野区長吉長原3-5-7
営業時間
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午後:13:00〜15:00(水・土を除く)
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