消化器

「異物を飲み込んだ!」の話

「異物を飲み込んだ!」の話

糸のついた縫い針、タオル、桃の種、生理用品(タンポン)、シリコン製のフィギュア、ぬいぐるみの一部、焼き鳥の串、足ふきマットのすべり止めネット、カーテンの一部、おばあちゃんの認知症の薬、デンタルガムなどなど

これらはすべて、ワンちゃん、ネコちゃんが飲み込んで当センターで外科手術や内視鏡、催吐処置で体から取り出した異物です。

異物の摂取を目撃する場合もあるでしょうし、部屋の中のあるべきところにないということで気付くこともあります。反対に、全く気付かずウンチと共に出たものを見て驚くことや、吐物に混入した異物を見つけることもあるでしょう。

部屋を整理整頓し、危なそうなものは動物たちの手の届かないところにしまっておくというのが基本中の基本ですが、それでも彼らはやってしまうんですよね。

ブランケットに穴が開いているのに、無くなった部分が見つからない。

お気に入りのおもちゃのチェックはしていたけれど、丈夫と思っていた足がない。

フィギュアの数が足りない。

テーブルの上に置いておいたモモが食べ散らかされている。種が見つからない。

異物を摂取した場合に、異物の存在する部位によって症状は異なります。

食道に詰まってしまった(食道梗塞)場合は、食欲が廃絶し、何度も嚥下を繰り返す素振りや流涎が見られます。

胃内に異物が留まっているような場合は、全く無症状なこともありますし、胃の出口(幽門)に詰まってしまえば、嘔吐や下痢、沈鬱などの症状が出ます。桃の種の症例では、6か月間無症状でしたが、突然幽門に詰まり、激しい消化器症状が出て外科手術をし、黒く変色した桃の種を摘出しました。

腸管内異物では、腸管内を流れているうちは無症状なことが多く、流れなくなって腸管を閉塞させてしまうと、激しい消化器症状を現します。

1.飲み込んだ異物が分かっている場合

①~③を検討し、自然排泄が期待できる場合を除き、内視鏡で取り除くか、外科手術で摘出するか、催吐処置をするかの判断をしていきます。また、薬剤や化学物質などの誤食では、輸液や拮抗薬の投与などのいわゆる毒物に対する処置が必要になることもあります。

2.異物を飲み込んだかどうか分からない場合

消化器症状が出ていれば、獣医師に判断を委ねるのが安全でしょう。異物とは無関係な消化器症状のこともあるでしょうし、X-線検査で異物が見つかることもあるでしょう。けれども、多くの異物がX-線では写らないため(X-線透過性異物)、症状や経過によっては、バリウム造影やエコー検査が必要になることもあります。

最近、犬の催吐処置に、点眼剤という選択肢が増えました。

催吐処置とは、嘔吐を起こさせ胃内の異物を吐き出させる処置のことで、従来はオキシドールの経口投与、アポモルフィンの注射などが行われてきました。(猫ではメデトミジンの注射が行われることが多い。)

クレボルという商品名で、ロピニロール塩酸塩を有効成分とする犬用の催吐点眼剤です。

ロピニロールはドパミンD2受容体作動薬であり、第四脳室底部にある化学受容器引金帯(CTZ)のドパミンD2受容体に作用し、その刺激が隣接する嘔吐中枢に伝わり嘔吐を誘発します。(残念ながら、猫ではドパミン感受性が犬と異なるため、効果や安全性に問題があります。)

その有効性は以下の通りです。

アポモルフィンの注射と有効性では遜色なく、点眼ということでかなり診療の負担が軽減され、催吐処置のハードルが下がります。

獣医師以外は使用できませんが、診療の進め方の選択肢が広がった点は大いに評価できます。一方で、鋭利な異物やひも状の異物では、催吐処置自体に危険が伴いますので、何でもかんでも飲み込めば吐かせればよいというわけではないことも、十分ご理解いただきたいと思います。

何より想像力を働かせ、異物摂取につながるものはきちんと片付ける習慣が大切です。「危なそうなものは動物たちの口の届かないところにしまっておく」というのが基本中の基本だということをお忘れなく!

(文責 吉内)


大阪市の南大阪動物医療センター

住所
大阪府大阪市平野区長吉長原3-5-7
営業時間
午前:9:00 〜12:00
午後:13:00〜15:00(水・土を除く)
午後:16:00〜19:00(水・土を除く)
  • ※祝祭日はその曜日に準じます。
  • ※年中無休です。
  • ※お電話、もしくは受付へ直接ご予約ください。
  • ※ご希望の日と時間帯、獣医師を指定して頂くことができます。
  • ※土・日・祝日に限り、予約料770円(税込)が別途必要となります。
  • ※12/31〜1/3につきましては、12/30までに事前の予約確認が必要となります。
定休日
年中無休
最寄駅
大阪メトロ谷町線出戸駅もしくは長原駅
・・・エントリー・・・
「異物を飲み込んだ!」の話
「続・WSAVAワクチネーションガイドライン2024」の話
「WSAVAワクチネーションガイドライン2024」の話
「新型コロナとSFTS」ウイルス感染症の話
「マイボーム腺って何?」マイボシャンプーの話
・・・カテゴリー・・・
エキゾチック
ヘルニア
人と動物の関係学
内分泌
呼吸器
形成外科
循環器
感染症
整形外科
栄養学
歯科
泌尿器
消化器
猫学
皮膚科
眼科
社会事象
神経科
繁殖学
腫瘍学
行動学
診断学
遺伝
・・・アーカイブ・・・
2026年のブログ
2025年のブログ
2024年のブログ
2023年のブログ
2022年のブログ
2021年のブログ
2020年のブログ
2019年のブログ
2018年のブログ
2017年のブログ
2016年のブログ
2015年のブログ
2014年のブログ
2013年のブログ
2012年のブログ
2011年のブログ
2010年のブログ
2009年のブログ
2008年のブログ
2007年のブログ
2006年のブログ
2005年のブログ
2004年のブログ
2003年のブログ
2002年のブログ
2001年のブログ
2000年のブログ

院長コラム

VetzPetzClinicReport
Doctor'sインタビュー

・・・サイトメニュー・・・
HOME
診療案内・アクセス
施設案内
スタッフ紹介
よくある質問
協力病院
ドッグサービス
キャットフレンドリー
院長インタビュー
院長コラム
スタッフブログ
お問い合わせ
動物を飼う注意点
去勢・避妊について
ストレスについて
採用情報
新着情報
・・・手術について・・・
負担の少ない手術
手術の流れ
・・・犬の手術・・・
膝蓋骨脱臼、骨折
避妊、去勢手術
会陰ヘルニア
リハビリ
・・・猫の病気・・・
目(眼)の病気
口の病気
耳の病気
鼻の病気
呼吸器系の病気
消化器系の病気
皮膚の病気
癌、腫瘍
ヘルニア

・・・診療時間・・・

診療時間
9:00〜
12:00
13:00〜
15:00
16:00〜
19:00
外来診療
17:30〜
19:30
  • ※祝祭日はその曜日に準じます。
  • ※年中無休です。
  • ※お電話、もしくは受付へ直接ご予約ください。
  • ※ご希望の日と時間帯、獣医師を指定して頂くことができます。
  • ※土・日・祝日に限り、予約料770円(税込)が別途必要となります。
  • ※12/31〜1/3につきましては、12/30までに事前の予約確認が必要となります。

・・・所在地・・・

〒547-0016
大阪府大阪市平野区長吉長原3-5-7
tel: 06-6708-4111
大阪メトロ谷町線出戸駅もしくは長原駅より徒歩8分