消化器

「PEG」の話

「PEG」の話

 寒中お見舞い申し上げます。
 今年も本欄をよろしくお願いいたします。
 昨年末に政権交代が決まり、新しい年は少しでも良い方向に向いてほしいと、半信半疑ながらも期待をしてしまいます。
 個人的には、昨年3月に父親が他界し、生きとし生ける物の宿命として、必ず最期の時が来るということを思い知らされました。
 ここ何年も年頭に思い浮かべる言葉は同じです。例のロシアの諺なのですが、懲りずに今年も自分を戒めるために記しておこうと思います。
 「100年生き、100年学び、馬鹿のまま。」
今年も常に謙虚にひたむきに、1日1日を過ごしてゆきたいと思います。

 世の中のハイテク化にともなって、いわゆる「胃カメラ」も驚くほどに進化してきた。以前はファイバースコープ式といって柔軟性のある光ファイバーを束にして、その一端 にレンズを、もう一端にアイピースを取り付けたものが主流だったが、現在では先端にレンズとCCDを取り付け、ビデオモニターを見ながら操作するCCD内視鏡が主流になっている。
 CCDを使用することで画質が飛躍的に向上し、消化管の内側の観察、バイオプシー(細胞の検査)、異物の除去などにその威力を発揮している。その内視鏡を用いて本来であれば小手術が必要とされるような処置をいとも簡単に済ませてしまえることもある。PEGチューブの設置はその代表的なものの一つだ。

 PEG(ペグ)とは、Percutaneous Endoscopic Gastrostomy の頭文字をとったもので、経皮内視鏡的胃瘻(いろう)造設術のことだ。PEGは、口から食事が摂れない、飲み込む力が無いなどの場合に、直接、胃に栄養を入れるための小さな「口」をおなかに作る手術のことといえば分かりやすいだろう。

 その設置の方法とは
1)動物の右側を下にして横たえ、内視鏡を胃に挿入し送気して膨らませる。
2)体表から膨らんだ胃体部に針を刺し、針の中を通して丈夫な糸を胃内に向けて挿入する。
3)胃内に向けて刺入された針先を内視鏡でみていると糸が針の先から出てくるのが分かる。その糸を内視鏡の鉗子で挟み、内視鏡ごと引き抜いて口から出す。
4)その糸をよく尖った削りたての鉛筆の様な円錐状のチップの先端から挿入しPEGチューブのお尻に固定する。
5)糸をゆっくりと体表から引っ張り、円錐状のチップを胃壁、腹壁を通過させて引き抜くと、PEGチューブが現れる。チューブを胃内固定盤が胃壁に当たるまで引く。
6)内視鏡でPEGチューブの胃内固定盤が胃壁にきちんとあたっていることを確認し、体外に出ている部分を固定する。



という具合に、簡単な手順で設置を終えることができる。

 昨年、小動物用のPEGキットが市販され、利用可能になっている。胃瘻術が適用される症例はそう多くはないと考えられてきたが、猫の慢性腎不全の管理に良い成績が出るなど応用範囲は広がっており、小動物臨床での期待は大きい。
 この胃瘻術、家庭での管理が重要になって来るため、万事「遺漏」無きよう獣医師と飼主の方とが綿密な打ち合わせをし、しっかりとしたインフォームドコンセントが形成されていなければならないことは言うまでもない。

(文責:よしうち)




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大阪府大阪市平野区長吉長原3-5-7
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午後:13:00〜15:00(水・土を除く)
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