社会事象

「アフリカゾウの涙」の話

「アフリカゾウの涙」の話

 先日、狂犬病予防注射の当番があって、それ用にもう一つあれば便利かなと、認め印をハンコ屋さんに買いに行きました。なんと三文判の時代ならいざ知らず、今の世でも100円均一で、おおよそ思いつく姓のハンコが揃っているのに驚きました。年を取るほどにハンコを押す機会も増え、100均印などという商品が成立することとも思いあわせて、つくづく日本がハンコ社会だと思い知らされました。

 そんなハンコの中でも実印は大切な時に使うものと、100均印を印鑑登録することはあまりないでしょう。一生に一度くらいのことだから高級な印材、例えば、象牙、オランダ水牛、彩樺、黒水牛、本柘などに目が向いてしまうのもうなずけます。でもちょっと待ってください。象牙って輸入が禁止されたはずでは? なぜ店頭に?

 その回答が『アフリカゾウの涙』というホームページ http://tearsofelephants.org/ にあります。ケニア在住の獣医師 滝田明日香さんと山脇愛理さんが立ち上げた絶滅阻止活動のページです。(以下一部転載)





1989年のワシントン条約会議で、全世界で象牙販売が廃止されました。14世紀から象牙の為に虐殺され続けて来たアフリカゾウ達たちは、やっとサバンナで平和に生きていける日々を送ることが出来始めたのです。 ところが、1997年のワシントン条約会議により南部アフリカ諸国(ボツワナ、ナミビアとジンバブエ)から、日本が約50トンの「合法象牙」を流通・販売実験として500万米ドル(約5億2,000万円)で買い取ったのです。 合法象牙の取引の本来の目的は、象牙市場に合法象牙を過剰に供給することで密猟を減らす為のものでした。しかし、実際にはその正反対のことが起きてしまいました。合法象牙取引が象牙市場で再開されたことで、象牙の需要が復活して象牙価格が上がってしまい、違法象牙取引も復活してしまったのです。自然死や害獣コントロールで殺されたゾウの象牙だけが取引の対象になるという国際象牙取引条件の裏側には、「アフリカゾウの乱殺」と「象牙のローンダリング」 (違法象牙を合法の象牙として流通させる)という暗い真実が隠されており、こうして10年間落ち着いていたアフリカゾウの密猟は、合法象牙の流通復活で今世紀最悪の状態と呼ばれる暗黒の時代へ突入して行きました。 象牙1本の値段は、アフリカ人の平均年収の20倍以上もの値段になっているのです。そして高額で取引される象牙は中国では「ホワイトゴールド」と呼ばれ、その販売ルートは麻薬シンジケートや暴力団によってコントロールされています。さらにアフリカ諸国のテロリストグループや反政府組織は象牙による外貨獲得と、それによる武器購入を広く行い始め、象牙は紛争地帯の資金源となっているのです。


取引や流通も含め真に合法か否かは別にして、現実にわれわれの日常で象牙のハンコは正規に販売されています。実印を作ろうという時に印材の候補の一つになることも事実です。そこで少し考えてみる、ということが必要なことを自分も最近知ったのです。30年来の開業仲間の同級生に滝田明日香獣医師がいて、5月から6月にかけ日本に帰国し、いくつかの獣医科大学で講演するとのことで、メールが回ってきたのでした。

ハンコや装飾品など日本を含むアジアの象牙需要は、密猟と違法取引を生み、アフリカゾウの存在を脅かしています。昨年38,000頭のアフリカゾウが密猟の犠牲になったそうです。このままでは、あと10年で地球からアフリカゾウが消えてしまいます。象牙は一切無いよと言われれば、そうですかと済ませられるはず。少しだけあるよと言われるので、多少無理をしてでもほしいという、それが消費者心理なのか、身勝手なのか、けれども一生に一度しか生えてこない象牙はだれのものでもなく、ゾウ自身のもの。高級な実印がほしいのならば、チタンの実印にしておきましょう。

滝田獣医師は訴えます。 「日本人としてアフリカゾウの絶滅に加担するのではなく、未来の地球に、私たちの子供たちに、野生のゾウを残せるように、私たちと一緒にゾウの保護活動に賛同してください!」

(文責:よしうち)


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