社会事象

「ちょいデブは長生き?」の話

「ちょいデブは長生き?」の話

 ここのところ、「続・寿命の話」「長寿表彰の話」「老年的超越の話」と寿命に関連した話題が続いています。今月はどうすれば長生きできるかというところで、以前の「Obesity Paradoxの話」(「Obesity Paradoxの話」(Jun’11 )参照)を思い出していただければと思います。

 最近の疫学研究では「ちょいデブの人のほうが長生きだ」という結果が出ています。日本では肥満と判定されるBMI(体型を評価する指標:体重÷身長の2乗)25前後の人が一番長生きだというのです。

 これは、医療費削減を意図してメタボリックシンドロームという考えを国民に浸透させ、健診でも腹囲測定が取り入れられるといった、厚労省の一大キャンペーンに反するような結果となっています。確かにスウェーデンの研究では、ちょいデブの男性の場合、メタボでなくても、死亡率、心血管系の異常発生率は体重とともに増えていくという結果が出ていますし、100歳以上の長寿者の場合、男女ともBMIは平均で19〜21で、25を超える人は稀です。

 一体、長生きなのは痩せ型とちょいデブ体型のどちらなのか、訳が分からなくなってきます。まさにパラドックスなのです。そこに一定の決着をもたらすような話題書が上梓されました。坪田一男・慶應義塾大学医学部教授の著となる『アンチエイジング・バトル最終決着』がそれです。

 スウェーデンの研究が優れているのは、他の研究と違って解析期間が30年と長いことです。ちょいデブグループと標準体重グループで比較すると、最初の10年は死亡率や心血管系異常発生率で差はありませんが、10年を超えると差が出てきます。つまり、ちょいデブの弊害が出てくるには時間がかかるということです。それを裏付けるように、これまでのさまざまな研究で、ちょいデブが2型糖尿病や高血圧などの生活習慣病や、一部のがん、関節炎などのリスクを高めることははっきりしています。

 したがって、40〜50歳ぐらいまではBMIが低いほうがリスクは低いはずで、ちょいデブは肥満に移行しやすく、一度太ると体重は戻りにくくなってしまいます。

 ではなぜ、BMIが25くらいの人が長生きという研究結果が出ているのでしょう。それは、65歳を超えたあたりから、栄養不足やタンパク質不足によるリスクのほうが大きくなるからで、この年代だけを対象に調査すれば、ちょいデブが長生きという結果になるということだったのです。

 つまり、「若い頃から中年までは標準体重をキープし、高齢になったら栄養不足にならないよう、ちょいデブになるのがベスト」というのが、現時点における結論ということになります。納得できる結論ですよね。

 それでは動物たちではどうなのか。残念ながら人のような疫学調査のデータはありません。けれども経験的に、人と同じようなことが言えるような気がしています。中年までは犬なら散歩、猫ならキャットタワーの昇り降りなどでしっかり運動してしっかり食べて標準体重を維持。中年以降は骨関節などの運動器の老化のことも含め運動をやや控えつつそれなりに食べてちょいデブさんに。そんな子たちが一番長生きしているように思います。

 いずれにせよ、ちょいデブまでということで、超デブはいかんわなーと自分を戒める今日この頃なのでした。

(文責:よしうち)



大阪市の南大阪動物医療センター

住所
大阪府大阪市平野区長吉長原3-5-7
営業時間
午前:9:00 〜12:00
午後:13:00〜15:00(水・土を除く)
午後:16:00〜19:00(水・土を除く)
  • ※祝祭日はその曜日に準じます。
  • ※年中無休です。
  • ※お電話、もしくは受付へ直接ご予約ください。
  • ※ご希望の日と時間帯、獣医師を指定して頂くことができます。
  • ※土・日・祝日に限り、予約料550円(税込)が別途必要となります。
  • ※12/31〜1/3につきましては、12/30までに事前の予約確認が必要となります。
定休日
年中無休
最寄駅
大阪メトロ谷町線出戸駅もしくは長原駅
・・・エントリー・・・
「ワクチンの進化は止まらない」の話
「ネコの涙の量は10秒で測る」の話
「ネコの尿比重はビーズに教えてもらう」慢性腎臓病の話
「ネコの痛みはAIに教えてもらう」の話
「イヌの不安は包帯に治してもらう」の話
・・・カテゴリー・・・
エキゾチック
ヘルニア
人と動物の関係学
内分泌
呼吸器
形成外科
循環器
感染症
整形外科
栄養学
歯科
泌尿器
消化器
猫学
皮膚科
眼科
社会事象
神経科
繁殖学
腫瘍学
行動学
診断学
遺伝
・・・アーカイブ・・・
2024年のブログ
2023年のブログ
2022年のブログ
2021年のブログ
2020年のブログ
2019年のブログ
2018年のブログ
2017年のブログ
2016年のブログ
2015年のブログ
2014年のブログ
2013年のブログ
2012年のブログ
2011年のブログ
2010年のブログ
2009年のブログ
2008年のブログ
2007年のブログ
2006年のブログ
2005年のブログ
2004年のブログ
2003年のブログ
2002年のブログ
2001年のブログ
2000年のブログ

院長コラム

VetzPetzClinicReport
Doctor'sインタビュー

・・・サイトメニュー・・・
HOME
診療案内・アクセス
施設案内
スタッフ紹介
よくある質問
協力病院
ドッグサービス
キャットフレンドリー
院長インタビュー
院長コラム
スタッフブログ
お問い合わせ
動物を飼う注意点
去勢・避妊について
ストレスについて
採用情報
新着情報
・・・手術について・・・
負担の少ない手術
手術の流れ
・・・犬の手術・・・
膝蓋骨脱臼、骨折
避妊、去勢手術
会陰ヘルニア
リハビリ
・・・猫の病気・・・
目(眼)の病気
口の病気
耳の病気
鼻の病気
呼吸器系の病気
消化器系の病気
皮膚の病気
癌、腫瘍
ヘルニア

・・・診療時間・・・

診療時間
9:00〜
12:00
13:00〜
15:00
16:00〜
19:00
  • ※祝祭日はその曜日に準じます。
  • ※年中無休です。
  • ※お電話、もしくは受付へ直接ご予約ください。
  • ※ご希望の日と時間帯、獣医師を指定して頂くことができます。
  • ※土・日・祝日に限り、予約料550円(税込)が別途必要となります。
  • ※12/31〜1/3につきましては、12/30までに事前の予約確認が必要となります。

・・・所在地・・・

〒547-0016
大阪府大阪市平野区長吉長原3-5-7
tel: 06-6708-4111
大阪メトロ谷町線出戸駅もしくは長原駅より徒歩8分