猫学

「猫のライフステージ」の話

「猫のライフステージ」の話

 最近、ライフステージという言葉を耳にすることが多くなったような気がします。ライフステージとは、一生における幼年期・児童期・青年期・壮年期・老年期などのそれぞれの段階のことを指しますが、生まれてから死ぬまでの期間を象徴的な出来事で区分けしたもので、例えば、家族について区分けすれば、新婚期・育児期・ 教育期・子独立期・老夫婦期などと考えることもできます。

 これに似た考え方で有名なのは、孔子が晩年に生涯を振り返って言ったことばとして、『論語・為政』に「子曰く、吾十有五にして学に志す、三十にして立つ、四十にして惑わず、五十にして天命を知る、六十にして耳順う、七十にして心の欲する所に従えども、矩を踰えず」というのがあります。平易な言葉に書き換えると「私は15才で学問を志し、30才で学問の基礎ができて自立し、40才になり迷うことがなくなった。50才には天から与えられた使命を知り、60才で人のことばに素直に耳を傾けることができるようになり、70才で思うままに生きても人の道から外れるようなことはなくなった。」というものです。

 何に着目するかで、さまざまなライフステージの区分けが可能ですが、体のコンディションに着目すれば、厚生労働省の資料(健康日本21など)では、幼年期0〜5歳、少年期6〜14歳、青年期15〜30歳、壮年期31〜44歳、中年期45〜64歳、前期高年期65〜74歳、中後期高年期75歳〜という区分けがなされています。


(厚生労働省「健康日本21」より)

 2010年にAAFP(アメリカ猫臨床家協会)とAAHA(アメリカ動物病院協会)が共同で「Feline Life stage Guidelines(猫のライフステージガイドライン)」という論文を発表しています。43ページにも及ぶ大作で、「猫の健康管理のためのライフステージガイドライン」と表現すれば、内容をよく反映していると思います。そこに掲載されているライフステージのシェーマが以下です。



前出の健康日本21や孔子の言葉と直接比較してみると興味深いものがあります。



 多少のズレはあるものの、キトン(仔猫期)が「幼/少年期」、ジュニア(年少期)が「青年期」、プライム(壮年期)が「壮年期」、マチュア(熟年期)が「中年期」、シニア(年長期)が「前期高齢期」、ジェリアトリック(老年期)が「中後期高年期」とうまく一致するのです。実によくできた年齢換算表だということなのでしょう。多少のズレは、むしろ厚生労働省が健康保険制度との絡みから、本質を歪めているのかもと勘繰りたくなってしまいます。

 猫と長年一緒に暮らしていると、2歳くらいまではやんちゃもするが、3歳からは妙に大人びた振る舞いに変わり、7歳を過ぎればふてぶてしく、10歳を過ぎれば思慮深く、15歳を過ぎて悠久の世界にひたっているような気がするのです。孔子の言葉がそれをうまく説明できているように思えるのは自分だけでしょうか。猫の擬人化もほどほどにしなさいと、お叱りの言葉が聞こえてきそうです。

(文責:よしうち)






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