猫学

「猫ちゃんお返事は?」の話

「猫ちゃんお返事は?」の話

  いつの間にか7匹になったわが家の猫たち。中でも茶トラのニノは、「ニノッ!ニノ君!」と呼ぶと、「ニャッ:^^」と返事をしてくれるのです。


  以前、NHKのサイエンスZEROで猫特集がありました。武蔵野大学の齋藤慈子さんはネコが他人の声と飼い主の声を区別できるかを調べました。20匹のネコで「馴化脱馴化法」という手法で確かめたところ、ネコが飼い主の声を聞き分けていることが分かりました。この実験で、ネコがそれぞれの声に対してどんな反応をしたのかを見てみると、多くのネコは頭を動かしたり耳を動かしただけ。つまり明確な返事はしませんでした。このことから、ネコは飼い主の声の区別はできているのに呼びかけに対して積極的に返事をしないことが分かったのです。

  ヒトの明確な返事にあたると思っていたネコの「鳴く」という行動は、返事ではないのかもしれません。ネコが鳴く「ニャー」は、猫同士のコミュニケーションには存在しないといわれています。人に何かを訴えるときにだけ「ニャー!」と鳴くのです。

  わが家のニノは、「ニノ、ミャーは?」と鳴き返しを期待して幾度もトレーニングした結果として「ニャッ:^^」と返事をしてくれるようになったのです。「お手」や「タッチ」のトレーニングと同じですよね。

  このようなネコの返事の仕方に対して、イヌは、他人の声であろうが飼い主の声であろうが、明瞭な声ではっきりと名前を呼ばれると必ず声の主を見るのです。それが診察中であっても、サッとこちらを見て、「獣医のおっちゃんなんやネン」という顔で、慌てて目線を外すのです。もちろん声の主が飼い主さんなら、しっかりとアイコンタクトを取って「注射はいやや!」と訴えかけるのです。

  ネコとイヌの進化の過程での人とのコミュニケーションの必要性の差が、現在の人とのコミュニケーションの取り方の差となって現れているのでしょう。けれども、狩猟のお供や、家の警護、倉庫を荒らすネズミの退治などの任務を失い、失業した家庭のワンちゃん、ネコちゃんたちが、コンパニオン業として磨かなければならないスキルは、ヒトとのコミュニケーション。ワンちゃんのアイコンタクトも、ニノの「ニャッ:^^」も、職務遂行のための血の滲むような努力の結果なのかもしれません。

  このようなワンちゃん、ネコちゃんの努力や、そもそもの人とのコミュニケーションの取り方の特性の結果として、彼らは、様々な良い影響をヒトにもたらしてくれています。

  ネコを飼うことが人の健康につながることを示す論文がアメリカで発表されています。ミネソタ大学の脳卒中研究所がネコの飼育と心血管疾患との関連性を調べたものです。35〜70歳でネコを飼ったことのある人2435人と、飼ったことのない人2000人を13年に渡って調べたところ驚くべき結果が出たのです。ネコを飼っている人は心筋梗塞などで亡くなる確率が40%も低いことが判明したのです。




  ワンちゃん、ネコちゃんたちと共に暮らす生き方が、どれほどの潤いを人の生活に与えてくれているのか。それを感じておられる人ほどワンちゃん、ネコちゃんとの生活を大切にしておられるように思います。でも、ネコちゃんのあの抱き心地、手触り、ゴーゴーという喉鳴り、理屈抜きで心地よいと感じることが、実はとても大切なのかもしれません。

(文責:よしうち)



大阪市の南大阪動物医療センター

住所
大阪府大阪市平野区長吉長原3-5-7
営業時間
午前:9:00 〜12:00
午後:13:00〜15:00(水・土を除く)
午後:16:00〜19:00(水・土を除く)
  • ※祝祭日はその曜日に準じます。
  • ※年中無休です。
  • ※お電話、もしくは受付へ直接ご予約ください。
  • ※ご希望の日と時間帯、獣医師を指定して頂くことができます。
  • ※土・日・祝日に限り、予約料550円(税込)が別途必要となります。
  • ※12/31〜1/3につきましては、12/30までに事前の予約確認が必要となります。
定休日
年中無休
最寄駅
大阪メトロ谷町線出戸駅もしくは長原駅
・・・エントリー・・・
「ネコの涙の量は10秒で測る」の話
「ネコの尿比重はビーズに教えてもらう」慢性腎臓病の話
「ネコの痛みはAIに教えてもらう」の話
「イヌの不安は包帯に治してもらう」の話
「ネコの腎性貧血はニワトリに治してもらう」の話
・・・カテゴリー・・・
エキゾチック
ヘルニア
人と動物の関係学
内分泌
呼吸器
形成外科
循環器
感染症
整形外科
栄養学
歯科
泌尿器
消化器
猫学
皮膚科
眼科
社会事象
神経科
繁殖学
腫瘍学
行動学
診断学
遺伝
・・・アーカイブ・・・
2024年のブログ
2023年のブログ
2022年のブログ
2021年のブログ
2020年のブログ
2019年のブログ
2018年のブログ
2017年のブログ
2016年のブログ
2015年のブログ
2014年のブログ
2013年のブログ
2012年のブログ
2011年のブログ
2010年のブログ
2009年のブログ
2008年のブログ
2007年のブログ
2006年のブログ
2005年のブログ
2004年のブログ
2003年のブログ
2002年のブログ
2001年のブログ
2000年のブログ

院長コラム

VetzPetzClinicReport
Doctor'sインタビュー

・・・サイトメニュー・・・
HOME
診療案内・アクセス
施設案内
スタッフ紹介
よくある質問
協力病院
ドッグサービス
キャットフレンドリー
院長インタビュー
院長コラム
スタッフブログ
お問い合わせ
動物を飼う注意点
去勢・避妊について
ストレスについて
採用情報
新着情報
・・・手術について・・・
負担の少ない手術
手術の流れ
・・・犬の手術・・・
膝蓋骨脱臼、骨折
避妊、去勢手術
会陰ヘルニア
リハビリ
・・・猫の病気・・・
目(眼)の病気
口の病気
耳の病気
鼻の病気
呼吸器系の病気
消化器系の病気
皮膚の病気
癌、腫瘍
ヘルニア

・・・診療時間・・・

診療時間
9:00〜
12:00
13:00〜
15:00
16:00〜
19:00
  • ※祝祭日はその曜日に準じます。
  • ※年中無休です。
  • ※お電話、もしくは受付へ直接ご予約ください。
  • ※ご希望の日と時間帯、獣医師を指定して頂くことができます。
  • ※土・日・祝日に限り、予約料550円(税込)が別途必要となります。
  • ※12/31〜1/3につきましては、12/30までに事前の予約確認が必要となります。

・・・所在地・・・

〒547-0016
大阪府大阪市平野区長吉長原3-5-7
tel: 06-6708-4111
大阪メトロ谷町線出戸駅もしくは長原駅より徒歩8分