2009年06月01日 人と動物の関係学

百万回生きた猫の話

百万回生きた猫の話

 妙に夏らしい春を迎えて、新緑が眼に沁みて映ります。建物の中にこもっているのがもったいないような陽気を尻目に、近所の銀行で番号を取り順番待ちをしていました。ふと長いすの横のマガジンラックに「100万回生きたねこ」という絵本を見つけ、パラパラとページをめくり始め、番号を呼ばれているのにも気付かぬくらい一気に最後まで読み通してしまったのです。死んでも死んでも生きなおしてしまう猫が、愛を知り猫らしく一生を全うできた時に初めて生きなおすことなく永眠できたのでした。

 1977年1月に講談社から発行されたこの絵本の作者は佐野 洋子さん。あらすじは以下の通りです。


100万回生きた猫

 百万年も死なない猫がいました。百万回も死んで、百万回も生きたのです。りっぱなトラ猫でした。猫にはいつも飼い主がいました・・・その数100万人。あるときは、王さまのねこ、またあるときは、船乗りのねこ。どろぼう、手品つかい、ひとりぼっちのおばあさん、ちいさな女の子。皆、猫が死ぬとワンワンと嘆き悲しみましたが、猫自身は一度も泣いたことがありませんでした。
 ところが、この猫に見向きもしないものがいました。それは美しい白い猫でした。猫は腹を立てました。そして毎日毎日、白猫に「俺はすごいんだぜ、なんてったって100万回も生きたんだから」と、自慢話をしに行きました。
 白猫は気のない相づちを打つばかりでした。今日も猫は「俺はすごいんだぜ」と言いかけて、途中でやめました。そして「そばにいてもいいかい?」と尋ねました。白猫は「ええ」とだけ言いました。2匹は常に寄り添うようになり、一緒にいることがなによりも大切に感じるようになりました。それからかわいい子猫がたくさん生まれ、猫はもう得意の台詞、「俺はすごいんだぜ」を言わなくなりました。いつのまにか自分よりも、白猫や子猫たちのことを大切に思うようになっていました。やがて子猫達は巣立って行き、白猫は少しお婆さんになりました。猫は、白猫と一緒にいつまでも生きていたいと思いました。ある日、白猫は猫の隣で、静かに動かなくなっていました。猫は白猫の亡骸を抱いて、生まれて初めて泣きました。100万回泣きました。そしてぴたりと泣きやみました。猫は、白猫の隣で静かに動かなくなっていました。それから猫は、もう決して生き返りませんでした。

 名作と呼ばれるこの作品の読後感は人それぞれでしょう。大人の絵本だという人もいます。子供を産んだらぜひ読ませたいという女性もいます。自分が開業獣医師という仕事を30年やってきたからといって、特別な感想があるわけではありません。ただ、今現在3匹の猫を飼っている飼主として、何度も生き直させるような飼主にはなりたくない。自分の愛情が猫にも伝わるような飼主でありたいと願うだけです。そして、そんな飼主や猫たちのために、生き直すことのできない時間をすこしでも守ってあげられる獣医師でありたいと強く思ったのでした。

(文責:よしうち)

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