2010年03月01日 人と動物の関係学

「マナー」の話

「マナー」の話

 先日、東京で開かれた日本獣医内科学アカデミーに参加してきた。数あるセッションのうち獣医学的なものはさて置くこととして、JAHAの受け持ちセッションのコミュニケーション、マナー研修の時のお話。JALアカデミーが担当しておられ、身だしなみ、話し方、聴き方、人間関係構築の5原則など、楽しくそれでいてビシッと要所を締めながら講義が進む。

 講義の半ばだろうか、こんな質問が飛んだ。「エチケットとマナーって、どう違うんでしょう。」どちらもカタカナ言葉だが、完全に日本語化している。エチケットは「社会的に慣習化した守るべき決まり=礼儀作法」。マナーは「慣習化したその場にふさわしい振る舞い、態度=行儀作法」。というのが正解。したがって行儀作法には「行う」という文字がある。
 人はその振る舞いが第1印象となり、第1印象でその人の評価の90%が決まると言われている。第1印象が形作られるのに要する時間はたったの3〜6秒だそうだ。
 冬季五輪のスノボの国母君がどんなにいい奴でも、あのインタビューで「反省してまーす。」と語尾を伸ばしたりしたのでは、あまりに第1印象が悪い。それまで国母君を知らなかった人たちが彼のことをどう感じたかは言わずもがなだろう。ボードの特性を見極め素晴らしい技を磨くことも大切だが、それを取り巻く人々の心理特性を見極めることも大切だったのではと少し残念な気がした。

 そんなこんなで、マナー研修の余韻が覚めやらぬうち、自分も編集委員を務めている通販のペピイ誌の編集会議があった。無論、通販に関する事が自分たちの仕事ではなく、誌面に掲載される獣医学的な記事の企画、編集の会議だ。その記事のひとつに「飼主のマナーとルール」というのがあった。10年前に掲載されたものをリメイクしようということで意見交換が始まった。さすがにこのテーマでは大きな手直しは必要ないだろうと思いつつ、内容に目を走らせる。

 「動物に迷子札をつけましょう」という項目。動物の名前や住所、電話番号が分かる迷子札をつけましょうと書かれている。そうなのだ、10年前はまだ個人情報などにおおらかな時代だったのだ。今なら、電話番号なんか書いておいた日には、イタ電の嵐が待ち受けているかもと躊躇するところだ。NTTが「ワンにゃんバー」を発売し、環境省がマイクロチップの普及に力を入れている。迷子札メーカーも、主治医の獣医さんの電話番号を入れましょうなどと推奨していたりもする。「個人情報保護に留意した迷子札をつけましょう」と改めるべきなのか。。。

 「便の後始末を忘れずに!」という項目。お出かけの時には、ビニール袋やスコップなどを忘れずに。。。と続く。これにも異議が噴出した。戸外を動物用のトイレとして推奨するような文面はマナーどころか反対にマナー違反。最近では、「散歩に行く前におうちでウンチやオシッコを済ませましょう。公園などの野外はみんなのもの、清潔に気持ちよく過ごせるように努めましょう。」というのが一番正しいという。確かに、お説ごもっとも。「お外で粗相をしてしまった時はその後始末をきちんとね!」と改めるべきなのか。。。

 手直しは少ないだろうと踏んでいた内容なのだが、多くの項目で、大幅な見直し作業が必要となってしまったのだった。

 動物を取り巻く環境や動物に対する社会の意識はまだまだ変遷を続けている。日本で、動物が家族の一員として家庭に迎え入れられるようになってまだ30年の年月しか流れていない。まだまだ成熟しているとは言い難い日本のペット社会では、より良い人と動物の暮らしのために、様々な慣習が打ち破られなければならないのだろう。マナーとは「慣習化したその場にふさわしい振る舞い、態度=行儀作法」と先に述べた。人と動物のよりよい関係のために、ベストマナーを時々に見直していくことも、自分たちに課せられた社会からの宿題なのだと感じずにはいられなかった。

(文責:よしうち)


大阪市の南大阪動物医療センター

住所
大阪府大阪市平野区長吉長原3-5-7
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午後:16:00〜19:00(月 〜 金)
午後:13:00〜17:00(土・日・祝)
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