2010年09月01日 社会事象

「禁友の輪」の話

「禁友の輪」の話

 腹立たしいような残暑が連日続き、犬も猫も人も皆、うんざり感にどっぷりつかりながら、ただただ秋の訪れを待っている。それでも今日の朝などは夜明けとともにベランダの植木に水やりをしていると、そよぐ風が心地よく、遠く金剛の山の上には入道雲が見えるものの、大阪の街の上には筋雲がわずかにかかり、そこはかとなく秋の気配が皮膚から沁みてきた。

 水やりを終えてテレビのスイッチを入れると民主党の党首選挙の話。庶民的で正義感があり、きっと良い人なのだろうが大きく日本の舵を切るなんてことの出来そうにない人と、腹黒くて蔭では何をしているのやらさっぱりわからないが、その無理無茶を押し通す剛腕で日本の窮地を何とかしてくれないかと期待される人が、一騎打ちをするそうな。日本の首相を決めることになるこの一騎打ちに、自分は参加するすべもないのだが、はてさて、民主党の議員さんたちの見識が問われる日まであと2週間と相成った。

 自分はというと、先月のコラムでお約束した通り、禁煙治療をきちんと続けている。薬を飲み始めて5週間、タバコを口にしなくなって4週間、無事に禁煙は続き、体調や生活にさまざまな変化が現れ始めた。

 痰や咳払いが減った。これは本当に激減した。歯茎の色が良くなった。口臭も減ったような気がする。食欲はもともと旺盛だったのでよくわからないが、ご飯(米飯)がとても美味しく感じられる。息切れも減ったかもしれない。
 何よりも、喫煙していたころは、「タバコの買い置きは大丈夫か? 外出する時にタバコを持ったか? さっきまで吸っていた煙草の火はきちんと消したか? 外出先ではどこでタバコを吸えるか?」などなど、喫煙にまつわり心を砕き気に留めておくことが多々あったのだが、それが一切なくなり、生活の中の大きな煩わしさがひとつ減った。おまけにいつも持ち歩いているポーチにタバコひと箱分のスペースの余裕までできた。

 チャンピックスの悪心には、今でもときどき悩まされることはあるのだが、1mg 1日2回に増えた当初ほどの吐き気はもうない。お医者さんのアドバイス通り、生姜を食べるとかなりましになる。悪心のひどい時は、冷奴にチューブ生姜を思い切りのせて食べたり、紅生姜をかじったり、メガシャキという飲料を飲んだりした。経験からは、おろしたての土生姜が一番効いたような気がするのだが、いつも手元にあるわけではない不便さがある。「ご飯にショウガ」という瓶詰めのご飯の友もけっこう良かった。なにより、悪心以外の不眠やうつ傾向などの副作用が出なかったことで、この薬で禁煙できそうだという自信が少しずつ膨らんできている。

 4週間経った現時点での素直な感想は、あっという間の4週間で禁煙の苦しみよりも悪心に悩まされたことの方が大きかったように思う。けれども、タバコを吸いたいと思わなかったかというととんでもない。食後や仕事が終わった時の一服は、正直今でも本当に吸いたい。多分、タバコの唯一の効用に違いない。緊張の緩和、満足感の増幅。40kgのカンパチを1時間がかりで釣り上げた後に、その余韻に浸りながら吸うタバコは、今でも忘れることのできない極上の一服であることに何のかわりもない。とっておきのシングルモルトに氷を浮かべ、音楽を聴きながらくゆらせる煙が、不味かろうはずもない。

 しかしながら、タバコが愛すべき嗜好品として喫煙され楽しまれることなど、日常では皆無ではないのかと自問してしまうことも確かなのだ。〆切に追われチェーンスモークしながら捻り出した原稿、紛糾する会議の合間に瞬く間に大きくなる喫煙所の灰皿の吸い殻の山、ストレスのぶつけどころとしての喫煙、時間つぶしの喫煙、現実逃避のための喫煙、惰性の喫煙、嗜好品を楽しむというより、やはり薬物依存以外の何物でもないと切って捨てようか。

 3年間禁煙していて、ちょっとしたきっかけで喫煙を再開してしまった人の話、やめようと思っただけでやめることができてしまった人の話、タバコにまつわる話もきりがないと思えるほどに、禁煙ネタで盛り上がることの多いこの4週間だった。

 嬉しいことに、一昨日の3回目のカウンセリングの後、ゲンキープ大阪の傍の処方箋薬局へチャンピックスをもらいに行った時のこと。「先生!」と声をかけられ振り返ると、同業のF先生が薬を持って立っておられた。
 「あはは、先生のコラムを読んで僕もゲンキープ大阪に来ました。今日が1日目です。」とのこと。期せずして「禁煙友達の輪」が広がった。副作用の話や生姜の話をしながら、健康の輪が広がったことに何ともいえない満足感を感じたのだった。

 はてさて、禁煙治療の続報は? 次回10月のコラムまで筆者の禁煙体験記になってしまいそうなこと、なにとぞご容赦いただきたい。

(文責:よしうち)

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