2011年01月01日
遺伝



「招き猫」の話
新年明けましておめでとうございます。
本年もこのコラムページ、よろしくご贔屓の程、お願い申し上げます。
新年を迎えたとはいえ、世の中に漂う重苦しさ、世知辛さに、どうも清々しい気分とはいかない。正月の特番を見ていても、広告収入が低迷しているのだろう、安普請の番組ばかりが気になってしまうのは自分だけだろうか。
と、ひょんなことで質問をいただいた。
「猫の首に鈴はつけない方が良いのですよね。」というものなのだが、
その唐突さに、一瞬何を答えればよいのか言葉を失った。どっち方面から湧いてきた疑問なのだろう。鈴の音が猫にはうっとうしいからかわいそうですよねと同意を求められたものなのか、鈴の音で目立ってしまって他の猫からいじめられやすいとか・・・色んなことが頭を駆け巡るが、言葉にできそうなことは何一つ思い浮かばない。
「んー、そのー、何を気にしてそういう風に思われたのでしょうか。」
というのが精いっぱいで、歯切れの悪さといったらこの上ない。
すると事も無げに
「難聴になるって聞いたことがあるんです。」と、これは非常に明快な理由が存在した。
なるほどと感心するやら、鈴の音くらいの音質・音量で難聴になるものだろうかと自問するやらで、またまた頭の中は大忙しになった。
航空機に乗務するスチュワーデスの方々(今はキャビンアテンダントの方々と言えば良いのだろうか)には騒音による難聴が職業病として認められているらしいのだが、あのジェットエンジンの音と鈴の音では相当に音量の差がありそうだ。
猫の首に鈴というのは、昔の人が飼い猫に悪戯や盗食をされないようにという生活の智恵だったのだろう。ネズミのジェリーが眠りこけている猫のトムに鈴をつけようとして始まる大騒動、アニメの「トムとジェリー」を思い出す。
首につけた鈴の音は、一種の環境騒音なのだから、そういう意味ではストレスになる可能性はある。不快と感じる猫はその内にもぎり取ってしまうのではないだろうか。

一方、青い眼の白猫は遺伝的に難聴もしくは聴こえない事が多いといわれている。(一説にはオッドアイの白猫とも。)難聴の猫にとって、鈴は不快ではないので、そのまま容認していることが多いような気もする。
つまり、鈴をもぎり取らずに機嫌よくつけている理由が難聴だったとしても、結果として鈴をつけている猫が難聴なわけで、鈴のせいで難聴になってしまったと考える人がいても不思議はないのかもしれない。
「ということで、鈴のせいで難聴になるとは考えにくいのですが、難聴の猫が鈴を平気でつけていることで生じた誤解かもしれないという気がします。」
と説明すると、妙に納得していただけたようで、無事に一件落着したのだった。
何事も関連付けて考えればよいというものでもないのだろうが、一旦考え始めた頭は止まらない。さらに余計なことにまで考えが広がる。
白猫は鈴をもぎり取らないことが多いので、白猫の首に鈴というイメージが自然と沸いてくる。だから、招き猫は白猫で首に鈴をつけている事が多いのかもしれない。そういえばサザエさん家のタマもそうだったっけ。

いやはや、新年から妙な猫談義になってしまったのだが、物事の原因と結果は時として入れ替わることもあるのだと思い知らされた。ならば、経済が悪いからみんなが重苦しいのではなく、なんとなくみんなが重苦しいから経済が悪いのかもしれない。ここはひとつ日本のために、招き猫に頑張ってもらおうか。

自分的には、サザエさん家のタマの顔を見ていたら、世知辛くとも平和な日本、憂えるのはやめて、今年も一年機嫌よく暮らして行ければそれで十分と、なぜか謙虚な気持ちになったのだった。
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