2011年06月01日
循環器
「Obesity Paradox」の話
メタボリックシンドロームが国の医療費削減のために、あたかも確立された概念であるかのように扱われ、それこそ代謝という言葉と無縁な子供でも「メタボ」は知っているという変な世相だ。本当に肥満がすべて悪いのだろうか?「BMIが増えると合併症・死亡率が減る」という"Obesity Paradox"なる現象の存在が議論され始めている。
Obesity paradox in patients with hypertension and coronary artery disease. Am J Med 2007 120:863-70. Uretsky S, Messerli FH, Bangalore S et al.
obestiy paradoxについて、冠動脈疾患を有する2万2576人の高血圧治療患者で検討。対象者の2.2%がやせ、20.0%が正常体重、39.9%が過体重、24.6%がclass I の肥満、13.2%がclass II〜III の肥満。
正常体重の患者を対照とし、全原因死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の初回発症を検討すると、過体重、class I〜IIIの肥満で発症が少ないことが判明し、やせ患者の方がリスクがより高かった。
この結果は、血圧減少が最も少ないclass I 肥満でさえ見られるものであり、BMIは必ずしも特定の高リスク患者においては合併症・死亡率を意味するものではない。
すべての肥満が悪いのか、改めて考え直す必要があろう。
このような論文の発表が増え続けているという。肥満は心疾患の発症リスクを高めるかもしれないが、心疾患を持っている患者においては、肥満傾向はリスクを押し下げているのだ。良い肥満というものがあるのだろうか。肥満というだけで目の敵にするのは間違いということなのだろう。
動物においても、既に慢性疾患を持っている動物に対する減量は慎重に考えなければならない。ムキムキの筋肉質なマッチョが決して長命ではないことを経験的に感じている獣医師はたくさんおられることだろう。美人薄命。カッコいい奴は長生きできないということが、観念的ではなく医学的に証明される日がもうすぐ来るかもしれないからだ。
(文責:よしうち)
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