2013年10月01日 社会事象

「餅は餅屋」の話

「餅は餅屋」の話

 「いろはかるた」と聞いて、「犬も歩けば棒に当たる」から始まるあれでしょ、と思い出される方はたくさんおられるに違いない。「色は匂へど散りぬるを、我が世誰ぞ常ならむ、有為(うい)の奥山 今日越えて、浅き夢見し酔(ゑ)ひもせず」(涅槃経)という仏教精神を和文で表わしたと言われる「いろは歌」47文字と、「京」を合わせた48文字を、それぞれ頭字とする〈たとえ(ことわざ)〉を選び集めたかるたのことだ。

 内容は江戸、京都、大坂、上方、尾張などで各々異なっており、地方の特色が表れている「郷土かるた」も各地に存在するらしい。冒頭の「犬も・・・」で始まるのは、江戸かるた(犬棒かるた)のことだ。この「いろはかるた」を含めた日本の「かるた」は、16世紀末頃、筑後国三池(現在の福岡県大牟田市)で作り始められたと言われている。

 ちょうどその時代のイギリスは、エリザベス朝時代を迎え、衣服にはあの特徴的な「襞襟(写真参照)」が用いられていた。


(エリザベス1世の肖像画)

襞襟(ひだえり、英: Ruff 仏: Fraise)は、洋服のシャツ、ブラウス等の襟の 仕立て方の1つで、ことに16世紀半ば〜17世紀前半のヨーロッパ諸国において、王侯貴族 や富裕な市民の間で流行した。



 この襞襟、シャツから取り外すことができ、頻繁に取り替えて上着の襟元と肌やひげなどが直接触れる部分の清潔を保つためのラッフル(ruffle)が元になっており、元来は実用的な機能を持つものであったが、洗濯糊の発見とともに長い襞襟の形を保たせることができるようになり、次第にその大きさや仕上げの精巧さが競われるようになったものらしい。

 時を経てこの21世紀の時代に、同じような着想の保護具が、エリザベスカラーなる呼称で動物医療の世界で必要不可欠なものになっている。手術、皮膚病、怪我などによる創傷を持った動物が、傷口をなめることで傷を悪化させることを防ぐ為に、半円錐形状の保護具が使用されるようになったものだ。


 日本の動物医療では、その昔、飼い鳥の毛引き症に、レントゲンフィルムを切り抜き、カラーをこしらえて装着したことから始まったように記憶しているが定かではない。1980年頃、犬や猫たちにもレントゲンフィルムが使用されていたが、耐久性の問題で樹脂製のものが自作されるようになり、犬具メーカーによって商品化されるに至った。まだサイズ揃えも不十分で、大型犬にはプラバケツの底を抜いて装着するようなこともあった。

 少なくともファッション性とは無関係に、必要に迫られて使用されていたエリザベスカラーは、飼い主の方々からも好評とは言えず、ましてやそれを装着される動物たちからは、憤懣やるかたのない代物であったに違いない。そのエリザベスカラーも、時代と共に、ファッションとは縁のないダサい獣医さんの発想から離れ、犬具メーカーや、動物アパレルメーカーの手によって、驚くほど可愛らしい、しかも使用感の改善されたものに進化してきている。不透明であった材質がクリアになったり、ソフトになったり、材質だけでなく、形状も様々なものが考案され、動物たちの体型や性格によりフィットしたエリザベスカラーをネットで探すことができる。実効性には検証を要するものもあるかもしれないが、主治医の先生とよく相談され、ベストフィットのエリザベスカラーを探されてはいかがだろうか。




通販サイトより画像を転載させていただきました。

 動物の健康を守るのは獣医師の使命だが、動物たちのための可愛らしい用品を作るのは動物アパレルメーカーに任せるほうが良いということだろう。「いろはかるた」の「京かるた」の「も」には「餅は餅屋」とあるのだから。

(文責:よしうち)




大阪市の南大阪動物医療センター

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大阪府大阪市平野区長吉長原3-5-7
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午後:16:00〜19:00(月 〜 金)
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