2014年06月01日 社会事象

「ハーネス」の話

「ハーネス」の話

 先日、朝の番組「特ダネ」で子供用ハーネスの特集をやっていた。小倉さんは大好きなキャスターの一人だが、その感想が「奴隷みたい」というのはとても残念だった。物理的な拘束が奴隷を連想させたのかもしれないが、物理的な拘束=罪悪というのはいかにも短絡的に過ぎるように思われた。


息子を見失った時の恐怖感。
今の年頃、一番、逃走しやすいです。
一瞬、下の子に、目をやってる隙に、上の子は消えていなくなります。
もう、二度と会えないのかと、何度泣きそうになりながら探したことか。
言い聞かせても通じる年頃でもないし。
他人の目なんかどうでもいい。
紐、つけましょう。




犬みたいとか、よくいわれましたよ
ぼそぼそならともかく若い女の子たちに大声でいわれて、
指差しで笑われたこともあります
でもね、何十年もつけるわけでなし、子供が怪我するよりはましでしょ
開き直りましょう。

 YOMIURI ONLINEの発言小町への書き込みなのだが、傍目と現実のはざまの切実な思いが気の毒なほどだ。

 子供の問題と同じ土俵で話を進めるとお叱りを受けそうだが(どうかご容赦いただきたい)、仕事がらハーネスやリードというものにはほとんど抵抗がない。行動を100%予測することのできない犬たちは、いかなる時でも、被害者にも加害者にもなりうる。法的な係留の義務は当然すぎるほど当然だ。日常の診療でも交通事故で担ぎ込まれる動物たちの大半はノーリードで、その危険性を飼い主の方にはお話しすることになる。幼児の行動の予測不可能なところといささかの違いもないのではと感じるのだ。

 子供たちは成長し、すぐにハーネスのお世話になる必要はなくなるだろう。けれども、犬たちはどんなによく躾けられ、行動を制御できるようになっても、ノーリードで街を歩くことはできない。だからどうというお話ではなく、だからこそ、飼主さんの横を付かず離れずリードを一定に弛ませて散歩できる犬たちを見ると、飼主さんと犬の強い信頼感を感じ、弛んだままのリードがその象徴に見えるのだ。「人と動物の絆」が形を成して進んでいく感覚。そんなリードが奴隷を連想させることなどありえない。

 絆は離れないよう繋ぎとめる綱の意味から、家族や友人など人と人を離れがたくしている結びつきを言うようになった。 絆の語源は諸説あり、「頸綱(くびつな)」「騎綱(きづな )」「繋綱(つなぎつな)」の意味、「引綱(ひきつな)」の上略など、動物を繋ぎとめる綱という点で共通している。(語源由来辞典)

 東日本大震災で「絆」という言葉がクローズアップされた。多くの被災者の方々が震災に負けまいと頑張れるのはそこに「人と人の絆」があるからに違いない。自分たちが獣医師として働けるのはそこに「人と動物の絆」があるからだと信じている。「人と人の絆」であれ、「人と動物の絆」であれ、そしてそれが「心の結びつき」であれ、「物質的な綱」であれ、そこには相手を守りたい、共にいることでより良く生きたいという、心からの「願い」があるからなのではないだろうか。

(文責:よしうち)



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