2014年12月01日 社会事象

「ちょいデブは長生き?」の話

「ちょいデブは長生き?」の話

 ここのところ、「続・寿命の話」「長寿表彰の話」「老年的超越の話」と寿命に関連した話題が続いています。今月はどうすれば長生きできるかというところで、以前の「Obesity Paradoxの話」(「Obesity Paradoxの話」(Jun'11 )参照)を思い出していただければと思います。

 最近の疫学研究では「ちょいデブの人のほうが長生きだ」という結果が出ています。日本では肥満と判定されるBMI(体型を評価する指標:体重÷身長の2乗)25前後の人が一番長生きだというのです。

 これは、医療費削減を意図してメタボリックシンドロームという考えを国民に浸透させ、健診でも腹囲測定が取り入れられるといった、厚労省の一大キャンペーンに反するような結果となっています。確かにスウェーデンの研究では、ちょいデブの男性の場合、メタボでなくても、死亡率、心血管系の異常発生率は体重とともに増えていくという結果が出ていますし、100歳以上の長寿者の場合、男女ともBMIは平均で19〜21で、25を超える人は稀です。

 一体、長生きなのは痩せ型とちょいデブ体型のどちらなのか、訳が分からなくなってきます。まさにパラドックスなのです。そこに一定の決着をもたらすような話題書が上梓されました。坪田一男・慶應義塾大学医学部教授の著となる『アンチエイジング・バトル最終決着』がそれです。

 スウェーデンの研究が優れているのは、他の研究と違って解析期間が30年と長いことです。ちょいデブグループと標準体重グループで比較すると、最初の10年は死亡率や心血管系異常発生率で差はありませんが、10年を超えると差が出てきます。つまり、ちょいデブの弊害が出てくるには時間がかかるということです。それを裏付けるように、これまでのさまざまな研究で、ちょいデブが2型糖尿病や高血圧などの生活習慣病や、一部のがん、関節炎などのリスクを高めることははっきりしています。

 したがって、40〜50歳ぐらいまではBMIが低いほうがリスクは低いはずで、ちょいデブは肥満に移行しやすく、一度太ると体重は戻りにくくなってしまいます。

 ではなぜ、BMIが25くらいの人が長生きという研究結果が出ているのでしょう。それは、65歳を超えたあたりから、栄養不足やタンパク質不足によるリスクのほうが大きくなるからで、この年代だけを対象に調査すれば、ちょいデブが長生きという結果になるということだったのです。

 つまり、「若い頃から中年までは標準体重をキープし、高齢になったら栄養不足にならないよう、ちょいデブになるのがベスト」というのが、現時点における結論ということになります。納得できる結論ですよね。

 それでは動物たちではどうなのか。残念ながら人のような疫学調査のデータはありません。けれども経験的に、人と同じようなことが言えるような気がしています。中年までは犬なら散歩、猫ならキャットタワーの昇り降りなどでしっかり運動してしっかり食べて標準体重を維持。中年以降は骨関節などの運動器の老化のことも含め運動をやや控えつつそれなりに食べてちょいデブさんに。そんな子たちが一番長生きしているように思います。

 いずれにせよ、ちょいデブまでということで、超デブはいかんわなーと自分を戒める今日この頃なのでした。

(文責:よしうち)


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