2015年09月01日 遺伝

「高脂血症」の話

「高脂血症」の話

 高脂血症とは、血液中に含まれる脂質が過剰な状態のことをいいます。具体的には、コレステロールと中性脂肪の両方もしくはいずれかが高い値を示します。これは、筆者のような中年を過ぎた呑ん兵衛のおっさんの専売特許のようなもので、働き過ぎ、食べ過ぎ、飲み過ぎ、喫煙、運動不足という生活習慣によって引き起こされるものが代表的です。あの屈辱的なメタボ検診と称する腹囲測定、血圧測定、血液検査などなど、その結果として、総コレステロールや中性脂肪にダメ判定が・・・。メタボ検診の名が示す通り、脂質の代謝異常であり、動脈硬化を招き、高血圧から循環器疾患へと発展したり、心筋梗塞や脳血管梗塞を引き起こしたりするのです。このように人を死に追いやる健康上の問題であるため、生活習慣の改善や食事療法を速やかに開始し、改善が乏しい場合には薬物療法が行われます。

 それでは、動物たちの場合はどうなのでしょうか。高脂血症があっても、動脈硬化、心筋梗塞、脳血管梗塞は、無くはないというものの、ことのほか少ないものです。それでは、高脂血症は治療しないで良いのでしょうか。その話をする前に動物たちの高脂血症の原因を考えてみましょう。

 高脂血症には、原発性のものと二次性のものがあります。つまり、遺伝的(家系的)な高脂血症と、何らかの疾患によって引き起こされる高脂血症があるということです。前者には、ミニチュア・シュナウザーの高中性脂肪血症、シェトランド・シープドッグの高コレステロール血症、猫の特発性高カイロミクロン血症などがあり、後者には、以下に挙げるような疾患によって誘発される高脂血症があります。



 そして、表の下に挙げたように、高脂血症があることで誘発される疾患もあるということなのです。したがって、高脂血症が見つかった場合には、原因となる他の疾患がないかどうかを精査する必要があります。高脂血症がサインとなって、大きな病気をいち早く見つけることができるかもしれません。

 治療は、二次性の高脂血症であれば、原疾患の治療ということになります。原発性の高脂血症の場合は、エネルギー密度の低い低脂肪食や高繊維食、EPAなどの不飽和脂肪酸の強化食で、増悪因子を取り除くことから開始します。

 動物も人と同じように、リポ蛋白質分画の分析が可能となっています。人ではWHO分類と呼ばれる6タイプに分類する方法が普及しており、動物でもそれに準じて病態の評価が試みられていますが、実際の病態にうまく適合しているかどうかは今後の課題といったところです。

 いずれにしましても、動物の高脂血症は、その危険性が十分に解析されていないことや、治療法が確立されていないことなどから、二次性高脂血症における原疾患の治療が主体となります。しかしながら、原発性の高脂血症においても食事療法は積極的に取り組む必要があり、食事療法で改善が乏しい犬の症例では、総コレステロール>360mg/dl、中性脂肪>250mg/dlを一つの目安として、薬物療法を考慮すべきでしょう。

 実は筆者も、今年の2月の健診で中性脂肪が285mg/dlと中年オヤジの高脂血症だったのですが、晩酌の返上と糖質制限、筋トレなどで、体重が8kgほど減り、中性脂肪も最近の検査で104mg/dlに改善しました。動物たちも、高脂血症の食事療法に積極的に取り組むことで、間食癖が治り、過剰な体重も落ちて、快活で楽しい生活を取り戻せることでしょう。

(文責:よしうち)



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