2016年01月01日

「肉の摂取量と大腸がん」の話

「肉の摂取量と大腸がん」の話

 新年明けましておめでとうございます。
 今年も本欄をよろしくお願いいたします。
 ここ何年も年頭に思い浮かべる言葉は同じです。例のロシアの諺なのですが、懲りずに今年も自分を戒めるために記しておこうと思います。
 「100年生き、100年学び、馬鹿のまま。」
 今年も常に謙虚にひたむきに、1日1日を過ごしてゆきたいと思います。

 昨年の10月26日に「加工肉やレッドミートに発がん性がある」とWHOの国際がん研究機関(IARC)よりプレスリリースがありました。けれども、日本国内の反応は、あのメタボリックシンドロームの時と比べると、相当に鈍かったというか冷ややかなものという印象を受けました。プレスリリースで、ハムやソーセージなどの加工肉を、発がん性基準「グループ1(人に対する発がん性がある)」に分類したのを受け、国立がん研究センターが10月29日、「平均的な日本人には影響がないか、あっても小さい」とする見解を発表したことが大きかったのかもしれません。

 今回のIARCの発表では、加工肉のほかに、牛肉・豚肉・羊肉などの「レッドミート」についても「グループ2A(人に対する発がん性がおそらくある)」に分類しています。この「グループ1」や「グループ2A」というのは、IARCによる発がん性の分類のことで、以下の5グループがあり、危険性の強さではなく、発がん性がどれぐらい明確かという基準で分類されます。



 プレスリリースでは、信頼性の比較的高い疫学調査(多目的コホート研究)の結果から、加工肉を1日平均50g食べ続けると大腸がんのリスクを18%高めるとし、レッドミートを100g食べ続けると大腸がんのリスクが17%上がるという限定的な証拠が得られたとしています。

 2013年に行われた厚労省の国民健康・栄養調査報告では、日本人の加工肉摂取量は1日当り13g、レッドミートは50gとなっていて、国立がん研究センターの「平均的な日本人には影響がないか、あっても小さい」とする見解が十分にうなずけるものであることを示しています。

 今回のプレスリリースの3日後にWHOは、「IARCの報告は、がんのリスクを減らすために加工肉の摂取を適量にすることを推奨したものであり、加工肉を一切食べないよう求めるものではない。」と発表しています。科学的根拠のある情報であっても、それをどう受け止めるかは一人一人の判断です。農林水産省が提唱するように「健全な食生活のために、食品をバランスよく食べることが大切」なのでしょう。

 話を動物たちの食生活に移すと、ペットフードは全て加工食品です。動物栄養学的にバランスの取れた総合栄養食と呼ばれるものも、その加工方法や栄養学的特性には相当な幅があります。それらを生涯にわたって摂取した場合の発がんリスクについての大規模調査というものは存在しません。けれども、ホームメイドで動物たちにバランスの取れた食事を用意することは到底できることではありません。真摯なペットフードメーカーが、動物たちの健康を願い、真摯に最良のペットフードを目指して切磋琢磨されることを願うのみです。私たちは、動物の栄養学を真摯に研究するペットフードメーカーを、「選ぶ」ことしかできないのですから。

(文責:よしうち)




大阪市の南大阪動物医療センター

住所
大阪府大阪市平野区長吉長原3-5-7
営業時間
午前:9:00 〜12:00
午後:16:00〜19:00(月 〜 金)
午後:13:00〜17:00(土・日・祝)
定休日
年中無休
最寄駅
出戸駅
・・・エントリー・・・
「BCSとMCS」の話
「猫にシャンプーは必要か」の話
「認知機能低下を予防する」の話
「認知機能低下を評価する」の話
「てんかん」の話
・・・カテゴリー・・・
消化器
循環器
呼吸器
泌尿器
整形外科
形成外科
眼科
皮膚科
歯科
神経科
内分泌
ヘルニア
感染症
行動学
繁殖学
腫瘍学
栄養学
血液学
診断学
猫学
エキゾチック
遺伝
社会事象
人と動物の関係学
・・・アーカイブ・・・
2017年のコラム
2016年のコラム
2015年のコラム
2014年のコラム
2013年のコラム
2012年のコラム
2011年のコラム
2010年のコラム
2009年のコラム
2008年のコラム
2007年のコラム
2006年のコラム
2005年のコラム
2004年のコラム
2003年のコラム
2002年のコラム
2001年のコラム
2000年のコラム

院長コラム

Doctor'sインタビュー

・・・新着情報・・・

・・・サイトメニュー・・・
HOME
診療案内・アクセス
施設案内
スタッフ紹介
協力病院
ドッグサービス
キャットフレンドリー
院長インタビュー
院長コラム
スタッフブログ
お問い合わせ
動物を飼う注意点
去勢・避妊について
ストレスについて
採用情報
新着情報
・・・手術について・・・
負担の少ない手術
手術の流れ
・・・犬の手術・・・
膝蓋骨脱臼、骨折
避妊、去勢手術
会陰ヘルニア
リハビリ
・・・猫の病気・・・
目(眼)の病気
口の病気
耳の病気
鼻の病気
呼吸器系の病気
消化器系の病気
皮膚の病気
癌、腫瘍
ヘルニア

・・・診療時間・・・

診療時間
9:00〜
12:00
13:00〜
15:00
16:00〜
19:00

▲ 13:00〜15:00は完全予約制
※ 祝祭日は各曜日に準じる

・・・所在地・・・

〒547-0016
大阪市平野区長吉長原3-5-7
tel: 06-6708-4111
地下鉄谷町線出戸駅より徒歩8分