2017年09月01日

「SFTSをきちんと知ろう」の話

「SFTSをきちんと知ろう」の話

2017年7月、ショッキングなニュースが流れました。


(クリックすると拡大されます)


すでに2013年から、国立感染症研究所によって野生動物に対する調査が開始されていて、シカ、イノシシ、猟犬でSFTS抗体が確認されていました。


  その結果を受けて、動物は感染しても発症しないといわれていましたが、イヌ・ネコそれぞれ1例の発症が確認されています。RT-PCRによる遺伝子診断によって、これらの発症例では、1病日から10病日くらいまで血清中にウイルスが検出され(未だ、それぞれ1症例で、症例数が増えれば、この期間は変わる可能性あり)、7から11病日で抗体が上昇し、2週ほどで臨床的に回復が認められ、3〜4週で退院したとのことです。

  まだまだ情報量が少なく、不明なこともたくさんありますが、人も動物も、SFTSウイルスを保有したマダニの吸血によって感染し、抵抗力次第で、不顕性感染〜発症、発症しても回復〜重篤化といった経過の違いが生じるようです。感染した個体では、一定期間血液中にウイルスを保有しますので、その血液が感染源になる可能性があります。

  2011年に中国で新しい感染症として流行していることが報告されたSFTSですが、発生が確認されている国は中国、韓国、日本の3か国で、遺伝子検査から日本のSFTSウイルスと中国で流行しているSFTSウイルスが異なっていることも分かっています。つまり、いつの時代かに大陸から日本にわたってきたSFTSウイルスを持ったマダニと日本の野生動物の間に吸血を介したウイルスの循環が成立し、長期にわたり日本の自然界にSFTSウイルスが保持されていたと考えられます。ところが、里山の崩壊によって野生動物の生態系が変化し、人への感染機会の増加につながったということなのでしょう。


  イヌやネコからヒトへのSFTS感染の可能性を考えると、マダニのSFTSウイルス保有率、そのマダニがイヌやネコに寄生する確率、そのイヌやネコがSFTSを発症する確率、発症してSFTSウイルスを血液中に保有している間にその血液がヒトに触れる確率、「ゼロでないことは確かなのですが」としか言いようがありません。

  そうであったとしても、イヌやネコたちがマダニを拾わないことに越したことはありません。この話をするときに、まず「マダニって?」と質問を受けることが多いので、その写真を見てもらいましょう。



マダニは何か出来物のように皮膚に鎮座しているのです。その大きさは成ダニで吸血前3〜8mm、吸血後10〜20mm程度です。



  滴下剤や経口薬によってマダニの動物への寄生をコントロールすることが可能です。日頃与えているフィラリア予防薬との合剤や、多くのノミ駆除剤にもマダニ駆除効果があります。若干割高な予防薬を選択することで、マダニに対する防御が可能となりますので、特に戸外に出ることのある動物の場合は、かかりつけの動物病院でご相談されることをお勧めします。

(文責:よしうち)

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