2017年10月01日 人と動物の関係学

「長寿動物から学ぶこと」の話

「長寿動物から学ぶこと」の話

2017年9月23日、中之島中央公会堂にて2017大阪動物愛護フェスティバルのセレモニーが開催され、多くの長寿動物たちの表彰が行われました。本コラムの筆者=吉内龍策が主催者を代表し、公益社団法人大阪市獣医師会会長としてご挨拶させていただきました。今月のコラムではその挨拶の全文を転載させていただきます。  

2017年9月23日大阪動物愛護フェスティバル主催者挨拶(吉内龍策) 全文
公益社団法人 大阪市獣医師会の吉内でございます。
主催者を代表しまして一言ご挨拶を申し上げます。 

まず初めに、7月の九州北部豪雨により被災されました皆様にお見舞いを申し上げますとともに、亡くなられました方々のご冥福をお祈り申し上げます。

さて、平素より大阪府獣医師会、大阪市獣医師会の事業にご協力を賜り、誠にありがとうございます。本日は、私ども獣医師会の事業の中でも最も大切な事業の一つとなっております動物愛護フェスティバルに、かくも大勢の皆様にお集まりいただきましたこと、心より御礼申し上げます。

また本日、わんちゃん・ねこちゃんのご長寿表彰をお受けになられるご家族の皆さま、誠におめでとうございます。動物医療に携わる者として、わんちゃん・ねこちゃんのご長寿を心よりお喜び申し上げたいと思います。

「みんなともだち地球の仲間」をスローガンに、大阪動物愛護フェスティバルは、大阪府、大阪市のご共催に加えまして環境省のご後援を、また、動物用医薬品、医療機械、フードメーカー等、各社の協賛を得て運営されております。ご協力いただきました関係各社には厚く御礼申し上げます。

昨年の本フェスティバルでは、わんちゃん・ねこちゃんと安心して暮らすために「ズーノーシスってなに?」というお話を講師としてさせていただきましたが、つい先日、瀕死の猫を保護しようとした女性が猫に咬まれてSFTS=重症熱性血小板減少症候群を発症して亡くなられたとの報道があり、ご心配されている方も多いかと思います。本邦で2016年2月までの3年間に届けられたSFTSの患者数は西日本を中心とした20府県から170例で、患者年齢は60代以上に多く、死亡が確認されたのは46例(27%)でしたが、ネコからヒトへ感染したのはこの1例だけです。わんちゃん・ねこちゃんの発症例にしても今現在各1例ずつしか報告がなく、発症例の血液中にウイルスが確認されたのは10日間ほどであったと報告されています。まず人がマダニに咬まれないこと、そしてわんちゃん・ねこちゃんはマダニの寄生予防をすること、元気な動物に危険性はほとんどないということで、必要以上に神経質にならないことが大切です。

このような感染症の話がある一方で、動物と共に暮らすことの効用が次々と科学的に明らかにされてきています。お年寄りが動物と暮らすことで、よく眠れない、やる気が出ないなどの健康上の不満が半減できます。病院に行く回数が2割近く減ります。血圧・コレステロール値が下がります。女性では健康寿命が3歳近く伸びます。子供さんでは、話すことのできない動物との触れ合いを通じて相手の気持ちを察する能力=思いやりの気持ちが育まれます。勉強のやる気と集中力が向上します。

この良いことずくめに思える動物たちとの暮らしにも問題がないわけではありません。(この長寿をお祝いする席で甚だ不謹慎ではありますが、)動物たちの寿命が人よりはるかに短いということです。動物たちから得るものが大きかっただけに、それを失ったときに訪れる状況には厳しいものがあります。それを避けるために、実践されている方も多いと思いますが、今いる子たちが老齢にさしかかったころに、二代目を迎え入れようということです。老け込んできたように見える子が刺激を受けて若返るという効果も期待できます。なにより、ペットロスのダメージが大幅に減少することが報告されています。

今、大阪市を含め多くの自治体で殺処分ゼロが掲げられていますが、達成できるかどうかは、動物たちの譲渡にかかっています。殺処分ゼロは行政の問題ではなく、私たちの行動にかかっているのです。「次の子を迎え入れるには自分も年を取りすぎた。」と動物との暮らしをあきらめる必要はありません。私たち獣医師会や大阪府・大阪市の実施している譲渡事業から動物を迎え入れてください。そして残念ながらご自身の健康上の理由で動物のお世話ができなくなった時には、その子を譲渡事業に委ねてください。動物たちは、自分たちよりはるかに柔軟にいろいろなことを受け入れてくれるはずです。

きょう長寿表彰をお受けになる皆様が、誰よりも動物たちと共に暮らすことの価値を知っておられることと思います。皆様から社会に向かって、「家族が幸せになる一番の近道は、動物と一緒に暮らすことです。」と、ぜひ情報発信をお願いいたします。

そして、一人でも多くの人が動物との暮らしの喜びを知り、すべての保護動物に平穏な暮らしが訪れることを心から願っております。

(文責 よしうち)

大阪市の南大阪動物医療センター

住所
大阪府大阪市平野区長吉長原3-5-7
営業時間
午前:9:00 〜12:00
午後:16:00〜19:00(月 〜 金)
午後:13:00〜17:00(土・日・祝)
定休日
年中無休
最寄駅
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