2019年07月01日 人と動物の関係学

「R.E.A.D.プログラム」の話

「R.E.A.D.プログラム」の話

「読書介助犬」と呼ばれる犬たちがいます。読書介助犬は、本を読む子どもたちに寄り添い、その朗読の声に耳を傾ける犬のことです。子どもたちからすれば、「犬に本の読み聞かせをする」ということになるのですが、「それって何の意味があるの?」と、一笑に付されてしまうかもしれません。

子どもたちが犬に本の読み聞かせをするという活動は、「R.E.A.D.プログラム」と呼ばれ、アメリカ・ユタ州にある図書館から始まりました。「R.E.A.D.」とは、“Reading Education Assistance Dogs”の略です。

「R.E.A.D.プログラム」は読書の魅力を伝え、コミュニケーションスキルを養うために1999年に始まりましたが、単に子どもたちの学習のためというだけでなく、人前で文章を読むことが苦手な子の苦手意識を払拭し、自己肯定力を培うことに役立ちます。

このプログラムでは、本を読み聞かせる相手が人間ではなく犬であることに大きな意味があります。人前で本を読むことが苦手な子は、往々にして上手に読もうとか、間違えずに読もうとして自分自身にプレッシャーをかけているものです。けれども犬は、子どもが本を上手に読めなくても、間違えても決して笑ったりすることはありません。子どもたちが読書介助犬の前で朗読を繰り返すことで、以前より楽しく、自信をもって本が読めるようになるのです。

批判することなく、ただただ傍に寄り添って耳を傾けてくれる犬に、子どもたちは深い安心と自己肯定感を感じます。読書介助犬は、まさに無言のセラピストといっても良いでしょう。

現在「R.E.A.D.プログラム」は、欧米を中心として活動が広がっています。しかし日本では、まだまだ認知度が低く、実際に活動を行っている団体も少ないのが現状です。活動の場所や、介助犬の育成環境が不十分な現状では、致し方ないのかもしれません。

当センターが昨年オープンしたキャットクリニックには、子猫の譲渡のためのキトンルームと、当センターのアンバサダーたちのためのキャットルームがあります。そして、キャットルームの住人のひとり、しめじ(2歳♂)は全く人見知りをしない超フレンドリーな性格の持ち主なのです。前々からしめじを読書介助猫に育てたいと考えていて、時々自分やスタッフが本の読み聞かせをしていました。

そして、今年も近隣の中学校の職場体験学習の時期になり、生徒さんを受け入れることになったのです。学年主任の先生との打合せの席で「R.E.A.D.プログラム」のことを説明し、生徒さんたちに本の読み聞かせを猫にしてあげてほしいとお願いしたのでした。

いよいよ職業体験学習の日が来ました。キャットルームの床にラグを敷き、お気に入りの爪とぎを置くと、しめじは大喜びでその上で寝転んでいます。生徒さんにその横に座って持参の本を朗読してもらいました。
   
神妙な顔でしめじは聞き入っています。どこかへ行ってしまわないかとハラハラしていましたが、それは杞憂でした。とうとう最後までしめじは満足げに聞いてくれたのです。
   

そして2人目の生徒さん。
   
しめじは身を乗り出してページをのぞき込んでいます。と思ったら、本の角をカジカジ。これはちょっとイタズラが過ぎました。
   

そして、3人目の生徒さんもクリア。
3人の生徒さんたち、ご協力ありがとうございました。しめじもこれで読書介助猫の第1歩を踏み出せました。“Reading Education Assistance Dogs”ならぬ“Reading Education Assistance Cats”ですからR.E.A.C.になるのでしょうか。しめじにはこんなプログラムがあるということをみんなに知ってもらうアンバサダー役になってほしいと考えています。

子どもたちが抱えるさまざまなプレッシャーやトラウマを解消するお手伝いを犬や猫がしてくれるというのはとても素敵だと思います。日本を含め、R.E.A.D.プログラムがもっとたくさんの国や地域に広がり、人と動物のより良い共生の形が生まれてくることを心から願っています。
(文責 よしうち)

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