2021年08月01日 猫学行動学

「環境エンリッチメント」の話

「環境エンリッチメント」の話

環境エンリッチメントとは、20137月の本コラム「ハズバンダリートレーニングの話」でもご紹介したように、飼育動物の正常な行動の多様性を引き出し、異常行動を減らして、動物の福祉と健康を改善するために、飼育環境に対して行われる工夫を指します。飼育動物の福祉を向上させるもっとも強力な手段の1つとされています。

 

この10年、猫を室内で飼育する方々が増え、多頭飼育も珍しくなくなってきましたが、それとともに、診察中に猫たちの問題行動の相談を受けることも増えてきました。自分が病院を始めた40年前、猫は自由に外出していて、妊娠・出産、交通事故やケンカ傷に感染症、果ては行方不明になることもあり、猫たちにとっては多難な毎日だったのですが、その分刺激の多い生活は、現在の3食昼寝付きの食っちゃ寝室内猫とは比べ物にならない位楽しかったのかもしれません。飼育している猫が出産しても、子猫をのんびりと育てているうちに、ご近所さんや知り合いにポツンポツンと貰われていったものです。

 

猫の問題行動の多くは以下の項目に含まれます。

□家族への攻撃行動

  □同種間の攻撃行動

□不適切な排泄

□常同障害

・心因性脱毛症

・織物摂食行動

・毛織物吸い行動

□不適切な爪とぎ行動

 

個々の問題行動への対応も大切なことですが、その原因はつまるところ、

〇室内飼育による刺激不足

〇早期母子分離の影響(攻撃性、不安傾向、社会性)

と言われているのです。

 

そこで環境エンリッチメントということになります。少なくとも次のリストにあるようなものは準備してあげたいですね。

・適切な食事と新鮮な水

  ・草

・快適なトイレ

・爪とぎ

・外が見れる場所

・上下運動ができる場所

・隠れることができる場所

・おもちゃ

・社会的刺激(仲間や飼い主とのふれあいなど)

・メディカルケア

 

その上で、あとは創意工夫あるのみです。

Hoseyらは環境エンリッチメントを以下の様に分類しています。

 

□採食エンリッチメント

多くの時間を採食に費やす野生動物と比べて、飼育動物は採食行動の時間が短く、行動の種類も少なくなる。そこで、それを補うことを目的とした採食エンリッチメントが行われている。

      (ペットボトルを利用したフードディスペンサー)

□空間エンリッチメント

空間エンリッチメントは、飼育環境の構造や、梁などの設置物、動物が操作する遊具や床材などによるエンリッチメントである。ロープ、休憩台、池、ジャングルジムなどが活用される。

     (キャットタワー)

□感覚エンリッチメント

動物の視覚、聴覚、嗅覚その他の感覚に刺激を与えるエンリッチメントである。音の出る玩具、反射光などが用いられる。さまざまなにおいを染み込ませた布を与えたり、給餌時に鳥の鳴き声を聞かせたりといったことも行われる。

  (ねずみや肉球のLEDライト)

□社会的エンリッチメント

他の動物との関わりに着目したエンリッチメントである。ヒトや同種個体、混合飼育の場合には他種の動物との関係も、社会的エンリッチメントになりうる。同種個体の存在は、飼育動物のエンリッチメントにおいてもっとも重要なものの1つである。

   (いつも一緒^^)

 

□認知エンリッチメント

複雑な問題解決を必要とし、動物の知性を刺激するものを与えるエンリッチメント。複雑な操作を行わないと餌を得られない装置を与えるのが1例である。

   (猫の知育玩具)

 

わが家には7匹の猫たちがいます。一番末っ子の夢二はまだまだ子供でいつも退屈そうにしています。野鳥が立ち寄るベランダに出たくて仕方がありませんが、危なくてとてもそのまま出してしまうわけには行きません。

     

ケージを用意してもらってご満悦の夢二です。

皆さんも色々な環境エンリッチメントにトライしてみてはいかがでしょうか^^

 

(文責 よしうち)


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