2006年09月01日 呼吸器

「咳(せき)」の話

「咳(せき)」の話

   今日では、犬や猫たちを一つ屋根の下で暮らす「家族の一員」として迎える人が増えています。彼らと共に暮らすことで心の潤いや安らぎが得られ、また疎外感や孤独感から開放され、さらに動物を世話することで生きがいや責任感が生まれます。つまり、共に暮らすことによって、人も動物もより健康で幸福な生活をおくれるということなのです。

   そこで大切になってくるのが、動物たちを理解するということです。理解することで互いに我慢しあうようなことを極力少なくすることができます。食事についてもそうですし、住環境や行動、かかりやすい病気や人と動物に共通の感染症など、言葉を話せない、そして、ヒトとは異なる動物種の家族だからこそ、知っておかなければならないことも多いでしょう。
   今回はその第2回目として、動物の「咳(せき)」について考えてみましょう。あなたは、犬の咳を聞いたことがありますか? 猫の咳は? 犬でも猫でもくしゃみは人とよく似ていて「くしゅん」というあれですよね。ところが咳はそれぞれに個性があり、初めてそれを聞いたときの飼主の方はすぐには咳と分からないことも珍しくはありません。犬の場合はのどに何か引っかかったような感じで「カッ、カッ、カッ」と大きく口を開けて苦しそうにします。猫の場合は「ヒーッ、ヒーッ、ヒーッ」としぼり出すような感じです。いずれもそれが犬と猫の咳なのです。

   咳には様々な原因があります。犬ではジステンパーやケンネルコフなどの感染症、気管虚脱や気管支炎、肺炎、フィラリア症、僧坊弁逆流症のような心不全などが主な原因となります。猫では伝染性鼻気管炎などの感染症、気管支炎や肺炎、うっ血性心不全などが挙げられます。いずれの疾患も原因治療が大切なことは言うまでもありませんが、室温や湿度、空気の汚れなどの生活環境の気道刺激性が高いほど、咳の症状が悪化することは共通しています。

   これらの疾患の中で特に環境とのかかわりが深いものに、いわゆる「猫の喘息」があります。喘息とは感染症や心不全、腫瘍などの他の原因の除外された慢性気管支炎を指し、気管支狭窄や慢性の咳を引き起こします。その原因は、有害刺激に対する免疫の感受性の変化に基づく一種の過敏症といえます。この過敏症はアドレナリン作用-コリン作用不均衡や粘液産生異常を含む気管気管支樹におけるさまざまな構造的、化学的変化によって起こります。ちょっと難しくなってしまいましたが、釈然としない原因によって気管支が敏感に反応するようになり、過剰な粘液分泌・気道浮腫・細胞浸潤による気道狭窄そして気道平滑筋収縮によって気流が制限され、結果として咳・喘鳴および元気消失といった症状が出てくるということなのです。

   この「猫の喘息」は決して珍しい病気ではなく、100頭に1頭くらいの割合で発生し、中でもシャム猫での発生率は他の猫の5倍に達すると報告されています。症状の軽い初期には、忘れた頃に「ヒーッ、ヒーッ」と咳をするくらいで、見過ごされることが多く、放置しがちな病気ですが、この初期に空気清浄機を導入してもらったり、家族の方の喫煙を制限してもらったりした症例では、そのまま症状がなくなり、事なきを得る場合も少なくありません。重症例においても、刺激の原因除去が治療の最優先課題であることにかわりはありませんが、最近では人と同様、プロピオン酸フルチカゾン吸入剤による長期療法が、気管気管支樹への炎症性細胞浸潤を低減するために利用可能となっています。

(文責:よしうち)

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