感染症

「SFTSその後」の話

「SFTSその後」の話

2017年9月に 「SFTSをきちんと知ろう」の話 を掲載してから1年半が経過し、色々なことが分かってきました。

2013年に日本国内で初めて確認された新興感染症ですが、2019年1月30日現在、397人の患者が報告されており、男女比は193:204で、届出時点の年齢中央値は74.0歳でした。発症は例年5-8月が多いものの、2018年は10月まで報告数が多く、西日本を中心とした23府県から届出がなされています。

                                              (国立感染症研究所 ウイルス第一部・感染症疫学センター)

山口大学共同獣医学部獣医微生物学教室 前田 健らが、2014年にSFTS患者が初めて報告された地域のSFTSV抗体保有状況を調査した結果、アライグマ(1742頭中190頭、陽性率10.9%)、タヌキ(531頭中39頭、7.3%)、イノシシ(89頭中2頭、2%)、アナグマ(74頭中6頭、8%)、サル(15頭中3頭、20%)、ハクビシン(16頭中5頭、31%)、シカ(9頭中1頭、11%)からSFTSV抗体が検出されており、多くの野生動物がSFTSVに感染していることが明らかとなっています。

感染地域では野生動物でのSFTSの蔓延がマダニのウイルス保有率を押し上げ、マダニ刺咬によるヒトや飼育動物への感染リスクを高めているのです。このように、SFTSはSFTSウイルスによるマダニ媒介性感染症ですが、ヒトを含む感染した動物ではウイルス血症が起き、体液、唾液、涙、尿、(重症例では消化管出血が激しいため)便中にSFTSウイルスが排泄されるため、それらが未感染動物の傷や粘膜に付着すれば、感染が成立する可能性があります。

マダニ刺咬によって感染したネコから、2018年8月宮崎県で注射の際の出血から、10月岡山県で治療の際の咬傷から、動物医療関係者への感染があったと報告がありました。動物取扱者は感染リスクを回避するための防御法をとる必要があります。

また、国内での報告はありませんが、中国や韓国では、ヒト―ヒト感染事例の報告があります。

感染者の介護や、SFTSによって亡くなった方の埋葬時に発生していますが、三次感染の報告はありません。

このように、SFTSは主にマダニによって媒介される感染症ですが、マダニ刺咬以外にも感染経路の存在が確認され、動物取扱者や医療従事者などでは、防護衣、手袋、ゴーグルの着用が必要な場合があります。

治療については、現在、富山化学工業株式会社(本社:東京都新宿区、社長:岡田淳二)が、SFTSを対象とした抗ウイルス薬「ファビピラビル」の国内臨床第Ⅲ相試験に入っており、最も有望視されています。

ペットを飼っておられる方については、マダニの動物への寄生をコントロールすることが重要です。オキサゾリン系薬剤が各社から出ていますので、動物病院にご相談ください。

(文責 よしうち)



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